2008年07月04日 (21:32)
子宮頸がんの最新治療(上) 開腹せず、出産可能性残す
東京都内の主婦(30)は二〇〇六年二月、総合病院で子宮頸部の一部を円錐(すい)状に切除する「子宮頸部円錐切除術」を受けた。がん検診で前がん状態の「高度異形成」が見つかり、経過をみていたところ「施設によっては『初期がん』と判断するかもしれない状態」と診断され、同術を受ける決心をした。
日帰りで手術を受けた。全身麻酔で約三十分間眠っているうちに、器具を膣(ちつ)から挿入して切除した。目覚めると「下腹部に軽い生理痛のような痛みがあった」。当日と翌日は月経の二、三日目と同程度の出血があり、徐々に少なくなった。ほかに目立った異常はなく「本当に手術を受けたのかと拍子抜けするほどだった」と振り返る。
術後の病変検査で、見立て通りの「高度異形成」だった。だが病変はすべて切除できたと判明した。「切りたくない気持ちはあったが、病変部分を完全に取れたとわかってすっきりした」。「妊娠の可能性は残った。まずは治すことが大切と考えた」。当日の治療費は健康保険の三割負担で約五万円だった。
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「開腹せずに治療でき、患者の負担の少ない治療法」。慶応義塾大医学部の青木大輔教授(産婦人科)はこう説明する。対象となるのはこの主婦のような高度異形成か、妊娠・出産を希望する初期がん患者だ。同大病院(東京都新宿区)では同術を一九八九年以降に約千七百件実施し、再発は「1%以下」(青木教授)。
同病院では三泊四日の入院で行う。治療時間は二十−三十分。メリットは子宮頸部の一部だけを切除するため、妊娠・出産の可能性を残せる点。ただし、妊娠時に子宮体部を支える役割を果たす頸部が短くなるため、早産の確率が通常(妊娠者の約一割)の約二倍になるという。治療後、頸部が閉塞(へいそく)して月経血が出なくなる症例が全体の約2%あり、この場合は再手術で開通させる必要がある。同切除術は各地の総合病院などで受けられる。
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同術の対象となる段階よりがんが進行した場合、開腹しての子宮摘出が標準治療となる。だが患者が妊娠・出産を強く希望する場合、頸部の一部を切除して頸部の残りと膣をつなぎ合わせる「広汎性子宮頸部摘出術」を用いるケースがある。
青木教授は「妊娠の可能性は残せるが、がん治療としての成績は不明。標準治療を理解した上での選択肢」と位置付ける。同院では二〇〇二年以降に約六十件を実施、再発したのは約一割。患者のうち一人が出産(早産)し、三人が現在妊娠継続中という。
<メモ> 年間約8000人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、特に20−30代に増えている。国立がんセンターの「人口動態統計によるがん死亡データ」によると、2006年の年齢別死亡率(人口10万人当たり)は1986年に比べて20代後半で3倍、30代で約2倍に増加。頸がんの原因はヒトパピローマウイルスで、大半が性行為で感染する。ワクチンが有効な予防策とされ、欧米では広く接種されているが、国内ではまだ承認されていない。検診受診率の向上と併せ、早急な対策が求められている。

