新規抗悪性腫瘍剤「TAS-102」、FDAが新薬承認申請を受理-大鵬薬品
進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として
大鵬薬品工業株式会社は2月23日、現在グローバルで開発中の抗悪性腫瘍剤TAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)について、米国食品医薬品局(FDA)が新薬承認申請を受理したことを発表した。処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は2015年12月19日となる。
結腸・直腸がんは世界で3番目に患者数の多いがんであり、2014年には米国で136,830名(うち、男性71,830名、女性65,000名)が結腸・直腸がんと診断され、50,310名が結腸・直腸がんが原因で死亡すると推測されている。欧州では2012年のデータで2番目に患者数の多いがんであり、447,000名(うち、男性242,000名、女性205,000名)が結腸・直腸がんと診断され、215,000名が結腸・直腸がんが原因で死亡したと推測されているという。
日本では「ロンサーフ配合錠」の製品名で世界に先駆けて発売
TAS-102は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりに直接DNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こすことで抗腫瘍効果を発揮する。TPIはFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼを阻害し、FTDの血中濃度を維持するとされている。
今回の新薬承認申請は、標準化学療法に不応・不耐となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者800名を対象に実施した国際共同第3相臨床試験(試験名:RECOURSE)の結果に基づいている。同試験において、TAS-102投与群はプラセボ投与群に比較して、主要評価項目である全生存期間(Overall Survival: OS)を有意に延長(HR = 0.68、p < 0.0001)。また、安全性において特に問題となるような事象は観察されなかったとしている。
なお、日本では国内第2相臨床試験結果に基づき、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として、「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」の製品名で2014年5月に世界に先駆けて発売されている。(横山香織)
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・大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース