ガン完全克服マニュアル

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2014年06月16日 (18:26)

ペット保険って実際必要なの? 獣医師に聞いてみた

獣医療の進歩に伴い、ペットも質の高い医療が受けられるようになりましたが、手術や入院をすると高額な医療費がかかってしまいます。猫は国民健康保険に加入していないので、飼い主さんが治療費を全額自己負担しなくてはいけません。

2013年のデータでは猫の1年にかかる医療費の平均は35,599円(アニコム損害保険株式会社調べ)でした。

数年前にペット保険が登場し、現在では様々な会社がペット保険を扱うようになりました。ペット保険に入っていればもしものときに安心ですが、月々の支払いも気になる所です。今回は、猫がかかりやすい病気とその治療費を確認し、ペット保険に加入すべきか否かを確認してみましょう。

○治療費がかかる猫の病気

高額な治療費がかかる病気とは、手術や入院が必要な病気といい替えることができるでしょう。また生涯つき合っていく病気、長期間の内服薬が必要な病気もトータルの治療費がかかる病気といえます。

※各病気の目安の治療費を書いていますが、症状、術前検査の有無、入院の日数等により治療費は異なります。ここに挙げた額はあくまで参考値であり、それ以上の治療費がかかることもあります。

○子猫期(0~1歳)

子猫期は、人間換算で0歳~18歳です。

■先天性疾患

先天性疾患とは生まれつきの病気です。猫は犬に比べて先天的な心臓病は少ないです。心臓以外では、潜在精巣、横隔膜ヘルニアの等の病気があります。これらの病気は家族として迎えた時には気付かれないことが多く、避妊去勢手術の際の術前検査で判明することが多いです。

治療費の一例:術前検査+潜在精巣摘出手術+入院=5~15万円(腫瘍化していない潜在精巣摘出手術は保険適用外の場合もあり)

■異物の誤飲

誤って異物を飲み込んでしまうのは殆どが若い猫です。おもちゃ、靴下、ヘアゴム、ビニール、鈴などなど、様々な物を猫は飲み込みます。そして異物が消化管につまってしまうと手術が必要です。

また異物の誤飲をした猫は、またおかしなものを飲み込んでしまうことが多々あるので注意が必要です。実際にヘアゴムが腸から摘出された猫が、数カ月後にまたヘアゴムを飲み込んで再度手術になったことがあります。

治療費の一例:術前検査+異物摘出手術(腸管切開)+入院=10~30万円

○成猫期(1~6歳)

成猫期(1~6歳)は、ライフステージで一番健康な時期ですが、幾つかの疾患は年齢に関係なく発症する可能性があります。

■猫下部尿路疾患 FLUTD

よくペットフードのパッケージにFLUTDと書いてありますが、これはfeline=猫 lower=下部 urinary=泌尿器の tract=路 disease=疾患の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「猫下部尿路疾患」になります。

下部尿路とはぼうこうから尿道のことで、ここに起こる病気全般を指します。代表的なものに細菌性ぼうこう炎、尿道結石、特発性ぼうこう(原因不明のぼうこう炎)などがあります。下のグラフを見ると、猫のぼうこう炎は年齢に関係なく発症していることがわかります。

(アニコム家庭どうぶつ白書2013より引用)

この中で治療費がかかるのは尿道結石です。特に雄猫の尿道は結石が詰まりやすいので注意が必要です。尿道に結石が詰まって取れない場合尿道を広げる尿道造瘻手術を行うこともあります。

治療費の一例:術前検査+会陰尿道造瘻手術+入院=10~30万円

■骨折

猫はじん帯損傷や椎間板ヘルニアは少ないですが骨折はしばしばあり、一番やんちゃなこの時期に多いです。

猫は、室内で暮らしているとほとんど骨折することがありませんが、高層階に住んでいる飼い主さんは、愛猫の落下には注意しましょう。猫は不思議と数十階のビルのベランダから落下することがあり、これを「フライングキャットシンドローム」と呼びます。

また、交通事故は落下事故と並んで骨折の主要な原因でしたが、昔に比べて外で飼われる猫が減ったので交通事故による骨折は年々減っています。

治療費の一例:術前検査+骨折整復手術+入院=10~50万円(骨折部位、手術方法により大きく変動)

○中年期(7歳~11歳)

中年期(7歳~11歳)は、人間換算で40歳~64歳です。人間でもこのあたりから保険に入りにくくなるのではないでしょうか。

■糖尿病

猫は比較的糖尿病になりやすい動物で、9歳以上の猫で発症が多いです。糖尿病は発見が遅れると、糖尿病性ケトアシドーシスという状態に陥ってしまい非常に危険です。糖尿病性ケトアシドーシスは数日間の集中的な入院治療が必要になります。

また、猫の糖尿病はインスリンの効き方が不安定なため、危機的な状況を脱しても繰り返し入院が必要なこともあります。糖尿病は手術をする病気ではありませんが、治療費がかかる病気と言えるでしょう。

治療費の一例:検査+糖尿病性ケトアシドーシスの集中治療=10~30万円(入院日数によって大きく変動)

■腫瘍(がん)

腫瘍の発生率は年齢を重ねるにつれて増加しますが、猫の場合、下のグラフが示すように8歳を境に発生率が高まります。

(アニコム家庭どうぶつ白書2013より引用)

腫瘍の治療方法は手術療法、化学療法(抗がん剤)、放射線療法があり、これを三大療法と呼びます。どの治療法が有効なのかは腫瘍の種類によって異なります。他には積極的な治療はせずに痛みや苦しみを和らげる緩和ケアを選ぶこともできますし、上記の治療方法と併用して行うこともあります。

治療の一例 乳がんの場合:術前検査+乳腺片側摘出手術+入院=10~30万円

○老年期(12歳以上)

老年期(12歳以上)は、人間換算をすると65歳位に該当します。猫の寿命が15歳前後なので一生の8割が過ぎたことになります。

ここでピックアップする慢性腎臓病と甲状腺機能亢進症は多くの場合、一生付き合っていく病気です。入院や手術が必要なくても、定期的な血液検査や数年単位の内科治療によってトータルでの治療費がかかる病気といえるでしょう。

■慢性腎臓病

最も多い猫の病気の一つである慢性腎臓病。慢性腎臓病は、下のグラフが示すように高齢になるにつれ発症率が高まります。

(アニコム家庭どうぶつ白書2013より引用)

薬は、症状や進行度に合わせて変えていきます。例えば高血圧症があれば降圧剤、脱水があれば輸液、低カリウム血症になっていればカリウム補給などです。

(慢性腎臓病に関しては、治療期間とステージによって差がありすぎるため、治療費の一例は出すことができません)

■甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。似ている病気としては人間のバセドウ病があります。バセドウ病は若い女性に多い病気ですが、猫の甲状腺機能亢進症は雌雄ともに高齢に多く、95%は10歳以上だといわれています。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、良く食べる割には体重が減る、尿量が増える、心臓がドキドキするなどの症状が現れます。

治療は手術により甲状腺を摘出する方法と、甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬を使う方法があります。甲状腺機能亢進症と診断される猫は高齢な猫が多いため手術よりも薬でコントロールすることが多いです。

(甲状腺機能亢進症に関しても、治療期間と重症度によって差がありすぎるため、治療費の一例は出すことができません)

○ペット保険は入った方が良いの?

■将来病気になったときのために

ペット医療の現実的な問題として、「経済的な理由で、治療の選択肢が狭まる」ことが多々あります。将来あなたの猫ちゃんが病気になったときに、質の高い医療を望むのであれば、保険に入っておくと治療の選択に幅が持てるでしょう。

■病気の早期発見のために

「どのくらい費用がかかるのかわからない」という経済的な不安が、動物病院に行く障害になることがあります。ペットの体調の変化に気付いたときに治療費を気にすることなく病院に行くことができれば、早期発見につながります。

ただでさえ猫は病気を隠す動物です。飼い主さんが気付くほどの症状が出ているときは既に進行していることが多く、来院が遅れると命が危ないことも。小さなことでも気になることがあれば動物病院にかかりやすい、という安心感も保険のメリットといえるでしょう。

○保険に加入するなら何歳?

保険会社によって何歳まで加入できるのかは異なります。私が調べた限りでは満12歳を超えると加入できないペット保険が多かったです。また、特定の病気が既に診断されていると保険に加入できなくなるので注意が必要です。

ここであげたようにライフステージごとにリスクが高い病気があり、まだ若いからと安心していると、想像以上に治療費がかかってしまうことも。元気なうちに病気に備えるという意味でも、早い時期に加入しておくのが一番です。

ただ、若い頃からペット保険に加入してもほとんど病院に行かなかったということも……。どうしても保険料を節約したい場合は、6歳の健康診断をパスしたら加入を検討することをおすすめします。その理由は、7歳を超えると、猫が病気になる機会がぐっと増えるからです。7歳は人間換算で約42歳。人間でも40代男性の40%近くは何かしらの持病を持っているという報告も有ります。(2007年厚生労働省調べ)

また、ペット保険の中には手術だけを保証するプランもあります。「通院ぐらいの費用なら大丈夫だけど突然手術が必要になったときのまとまった費用が不安」という方にとっては良い選択肢になるでしょう。

猫ちゃんも大切な家族。是非一度、検討してみてはいかがでしょうか。

■著者プロフィール
山本宗伸
職業は獣医師。猫の病院「Syu Syu CAT Clinic」で副院長として診療にあたっています。医学的な部分はもちろん、それ以外の猫に関する疑問にもわかりやすくお答えします。猫にまつわる身近な謎を掘り下げる猫ブログ「nekopedia」も時々更新。
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