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2014年06月16日 (21:59)

進展型小細胞肺癌で予防的全脳照射は脳転移を抑制するが生存期間には悪影響【ASCO2014】

 進展型小細胞肺癌に対し、予防的全脳照射(PCI)は脳転移の発症を抑制するが、全生存期間(OS)の延長には寄与せず、むしろ生存期間を短縮させる可能性が、無作為化フェーズ3試験の結果で明らかになった。九州がんセンター呼吸器腫瘍科の瀬戸貴司氏らが、5月30日から6月3日までシカゴで開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO2014)で発表した。

 PCIは、限局型小細胞肺癌で化学療法により完全奏効に至った患者において、脳転移の発症を抑制し、OSを延長させることが報告されている。また進展型小細胞肺癌でも化学療法に奏効した患者において、脳転移リスクの低下およびOSの延長が報告されていた(Slotman B et al, NEJM 2007)。

 しかしこの先行研究では、登録前に脳転移がないことをMRIで確認していないことや、放射線の線量や分画がさまざまであったこと、プラチナ系抗癌剤以外の導入化学療法が使用されていたことなどが指摘されていた。

 今回のフェーズ3試験は日本人を対象に、ファーストライン治療としてのプラチナ系抗癌剤による併用療法が奏効し、MRIで脳転移がないことを確認した進展型小細胞肺癌患者において、PCI群(25Gy/10分割)と経過観察群を比較した。患者登録は最終の化学療法の開始から6週以内に行った。

 主要評価項目はOS、副次評価項目は脳転移までの期間、無増悪生存期間(PFS)、安全性とした。脳転移は3カ月毎の画像検査で評価した。

 統計的に、ハザード比0.75、有意水準0.05、検出力80%を得るために必要な症例数は330人(死亡数299人)であった。2009年3月から2013年7月までに224人が登録された。

 中間解析は163人(PCI群84人、経過観察群79人)を対象に行われた。中間解析の時点で死亡が111人だった。なお中間解析の結果、PCIの有用性が認められなかったことから、独立データモニタリング委員会の審査の後、2013年7月17日に試験は中止された。

 ファーストラインの化学療法はシスプラチン+イリノテカン、カルボプラチン+エトポシド、シスプラチン+エトポシドが多かった。PCIによる治療期間中央値は14日(10-23日)であった。

 結果、脳転移の発症率は、PCI群で有意に低く、12カ月時点で32.4%、それに対して経過観察群は58.0%だった(Gray検定 p<0.001)。新たな脳転移に対して放射線療法を行ったのはPCI群で31.3%、経過観察群で80.4%だった。

 PFS中央値は、PCI群2.2カ月、経過観察群2.4カ月、ハザード比1.12(95%信頼区間:0.82-1.54)で同等だった。PD後にセカンドラインの化学療法を行ったのは、PCI群が82%、経過観察群89%、サードラインが43%、53%、フォースラインが16%、27%だった。

 OS中央値は、PCI群10.1カ月、経過観察群15.1カ月、ハザード比1.38(95%信頼区間:0.95-2.02)、層別ログランク検定p=0.091だった。

 PCI群でグレード2以上の有害事象の増加は見られなかったが、食欲不振と不快感は多い傾向があった。

 以上の結果から、「脳転移がない進展型小細胞肺癌患者においてPCIは生存利益をもたらさない」とした。ただしPCIの先行研究ではOS延長が報告されている。この違いの理由として、瀬戸氏は、先行研究には登録時点で脳転移のある患者が含まれており、後治療も行っていないためと述べた。
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