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2014年07月23日 (16:11)

女性の貧血、あなどらないで!

女性に多く見られる症状の一つ、「貧血」。重大な病気が原因で起こる場合もあるため、注意が必要だと話すのは慶應義塾大学 教授の岡本真一郎(おかもと・しんいちろう)さんだ。女性に多い鉄欠乏性貧血について詳解していただく。

* * *

■貧血とは
貧血とは、血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンが減少した状態を指します。

■貧血の症状
貧血では、「軽い動作でも動悸(どうき)や息切れがする」「疲れやすい」「頭が重い」「集中力がなくなる」などの症状がよく見られます。ヘモグロビンは全身の酸素供給に重要な役目を担っているので、ヘモグロビンが減少すると、体内に十分な酸素が巡らず、低酸素状態を起こすからです。

また、体内の酸素不足を補うために、心臓や肺が平常な状態を超えて働くことになります。その結果として、“軽い動作でも”動悸や息切れがするなどの症状が起こったり、重篤な場合には、心不全などを起こしたりするケースもあります。頻度は高くありませんが、「爪が割れやすい」「氷水や氷を飲食したくなる(氷食症)」などの症状を訴える人もいます。

なお、座っていて急に立ち上がったときなどにクラクラと感じる立ちくらみ(起立性低血圧)は、俗に“脳貧血”と呼ばれます。貧血と混同されがちですが、両者は異なるものです。立ちくらみは、一時的に脳への血流が減少するものですが、貧血は血液そのものが変化を来しています。

■貧血の原因
赤血球は、骨髄の中にある造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)が分化や増殖を繰り返して作られます。それらの過程で何らかの異常が起こると、赤血球が正常に作られなくなります。

例えば、造血幹細胞自体の数が減ると、再生不良性貧血が起こります。がん化した白血病細胞が骨髄内に増殖し、赤血球、白血球などの正常な血液細胞を作る場所がなくなる白血病でも貧血が起こります。ただし、これらの頻度はそれほど高くありません。

貧血には、造血幹細胞から赤血球が作られる過程で必要なホルモンや栄養が不足して起こるものがあります。例えば、赤血球の産生に必要なエリスロポエチンというホルモンは腎臓で作られるため、腎機能が低下すると正常な赤血球が十分に作られなくなり、貧血が起こることがあります(腎性貧血)。また、鉄、ビタミンB12、葉酸などの栄養が不足しても、赤血球を正常に作ることができなくなります。貧血の中で最も頻度が高いのが、体内の鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。

今回は、女性に多い鉄欠乏性貧血を中心に解説します。

■鉄欠乏性貧血
■鉄欠乏性貧血とは
ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビン(たんぱく質)から構成され、ヘムは酸素と結合して、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。したがって、体内の鉄が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られず、全身に十分な酸素を運ぶことができなくなり、貧血を起こします。

通常、人間の体内には、血液中や肝臓、脾臓(ひぞう)、骨髄などに合計して約3~4g の鉄が蓄えられています(貯蔵鉄)。また、食事から1日に約1mg の鉄が吸収され、ほぼ同じ量の鉄が汗や尿、便などから排泄(はいせつ)され、バランスがとれています。

ところが、長期間にわたって出血が続くと、出血した赤血球に含まれる鉄が慢性的に失われ、鉄の吸収と排泄のバランスは負に傾き、貯蔵鉄も底をついて、鉄欠乏性貧血が起こります。

女性の場合、月経量が多い人は喪失する鉄の量が増え、貧血を起こしやすいといえます。また、成長期には多くの鉄を必要とするので、相対的に鉄が不足する場合もあります。さらに、妊娠と授乳でも鉄を消費し、鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。

そのほか、子宮筋腫(きんしゅ)や子宮がんなどの病気により慢性的な出血が起こり、鉄欠乏性貧血を起こすこともあります。
これらは女性特有の原因のため、鉄欠乏性貧血は女性に多くなります。しかし、胃・腸の潰瘍、ポリープやがん、痔(じ)などによって慢性的な出血が起こる場合もあるため、男性でも鉄欠乏性貧血が起こることがあります。

■『NHKきょうの健康』2014年7月号より
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