ガン完全克服マニュアル

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2014年08月07日 (10:26)

最期まで“普段通り”の生活を 元看護師がホームホスピス開設 八戸

 末期がんや老衰などで余命わずかな高齢者らが、最期の時をより自分らしく過ごせるよう支援するため、昨年3月に八戸市に開設されたホームホスピス「もりの家」。今年2月には同市田面木赤坂に施設を移転、以前より多くの入居者を受け入れられるようになった。引っ越した先は、昔懐かしいたたずまいの古民家。入居者は延命治療をせず、職員の手助けを受けながら“普段通り”の日々を送る。開設者の中里藤枝さん(55)は「入居者の方が最期まで楽しく、笑顔で生活できるようなお手伝いをしたい」と穏やかなみとりを目指す。

 ■建物探しに苦労

 看護師とケアマネジャーの資格を持つ中里さんは以前、病院の外科に看護師として勤務していた。がん患者が治療のため長期入院を余儀なくされ、住み慣れた自宅に帰れない現状を目の当たりにし、「自分に何かできることはないか」との思いを抱いていた。

 転機を迎えたのは50歳の時。ホームホスピスの先駆け的な存在として知られる「かあさんの家」(宮崎市)を設立した市原美穂理事長の講演を盛岡市まで聴きに行き、「一主婦がホスピスを立ち上げたと聞いて、勇気づけられた」という。

 開設に当たって苦労したのは建物探し。適度な広さのある一軒家を求めたが、「ホスピスは死ぬ人が入るんだろう」と何度も借用を拒否された。ようやく場所を見つけ、資金は東日本大震災の被災地で新たに事業を始める起業家らを対象にした補助金を活用した。

 ■生活を縛らず

 昨年3月、八戸市根城に「もりの家」を開設。その後、現在地に移転し、入居定員を4人か11人に拡大した。職員は12人で、うち4人の看護師が交代で24時間常駐する。余命数週間と宣告された末期がん患者の他、気管切開の手術を受けたことで他施設への入居に苦労している人らを受け入れ、体調に応じて医師による往診や訪問看護につないでいる。

 家族や知人などの面会時間を制限せず、生活に縛りがないのも特長で、「好きな時に好きなように、自分のペースで過ごす」(中里さん)ことを大切にする。中里さん自身も29歳で抗がん剤を使った治療を受け、父親を肝臓がんで亡くした。こうした経験を入居者への細やかなサービスに生かしている。

 ■家族の再会に奔走

 6月、入居者の男性が膵臓(すいぞう)がんのため、48歳の若さで亡くなった。男性には娘2人と息子がいたが、家庭事情から長らく会う機会はなかった。心情を察した職員が「どうにか会わせてあげたい」と奔走。男性の家族と相談を重ね、親子の再会を実現させた。男性が息を引き取ったのは、その2日後だった。

 孤独で身寄りのない入居者には、隣に布団を敷いて一緒に寝ることも。中里さんは「今日亡くなってしまうかもしれない時は、様子を見ながら隣で寝る。独りで亡くなるのはあまりに寂しい」と理由を語る。

 最近は7~8人が施設で暮らす。職員が作る料理を食べ、テレビを楽しみ、庭先を散歩する。一日一日をゆったりと過ごす日常の風景がある。

 「末期の患者の受け入れに、周囲から反対されたこともある。がん患者の中には、寝たきりになったら生きる意味がないと悩む人もいる。それでも、ホームホスピスを必要とする人がいる限り、これからも続けていきたい」。中里さんは、こう力を込めた。

デーリー東北新聞社
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