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2014年08月09日 (17:30)

YC育ちのBikanta…ダイヤモンドの粉塵が微小段階の癌を正確に見つける

Y Combinatorが支援するバイオテク企業Bikantaは、小さな蛍光性のダイヤモンドを体内に入れることによって、がんをその発生箇所で退治することを目指す。オックスフォード大学で生物医学工学の博士号を取ったドクターAmbika Bumbが創始したこのスタートアップは、ナノサイズのダイヤモンドを使って、がんのうんと初期の時点で分子レベルの異状を見つけ、その拡大を抑止する。

Bumbはオックスフォード大学における博士課程終了後の特別研究を、国立衛生研究所(National Institute of Health, NIH)との共同研究として行っていたが、そのときに、現在のがん検診技術の限界に不満を抱いた。現在の方法では、やがて微小転移腫瘍に導くような小さな腫瘍、いわゆる遊離腫瘍細胞を見つけることができない。しかしそれを見逃すと、やがてそれはがんとして体のほかの部分にも広がるのだ。Bumbによると、そういう微細レベルの発見ができない原因として、信号の損失ないし喪失、背景的な妨害要素が大きいこと、有効な試薬の毒性が許容レベル以上であること、などが挙げられる。たとえばBumbの方法以外にも二つある蛍光光学方式の一つである量子ドット(quantum dots)は、カドミウム系の化合物を使うため有毒である。

世界保健機構(World Health Organization, WHO)によると、世界のがん患者は今後の20年間で57%増加する。したがってがん検診の受診者は年間1400万人から2200万人に増加する。それらのがん検診で毎年、小さな遊離腫瘍細胞が見逃されれば、防げたはずの死者が発生する。それはもっぱら、今の方法ではそんな腫瘍細胞が形成された時点で、見つけることができないからだ。

【中略】
〔これまでの光学的方法や蛍光素材の限界や制約〕

ナノダイヤモンド(ナノサイズのダイヤモンド)に関してBumbは、不完全なダイヤモンドをダスト(粉塵状)に破砕すると蛍光を発し、その反射により分子の異状を目立たせることができることを、発見した。“それはまるで体の中にフラッシュライトを入れたようなもので、しかも永続性がある”、とBumbは言う。永続性のある無毒な光源物質は、これまでの市場には存在せず、したがって画期的だ。

ナノダイヤモンドには磁気に感じる性質*もあり、その性質は組織内部の画像をより精細にとらえることに利用できる。初期のテストでは、蛍光性のナノダイヤモンドを使用すると、インヴィヴォ(生体内)でのSN比が従来の素材の100倍に改良された。利用技術の完成度が上がればSN比はもっと上がる、とBumbは言う。今この技術はリンパ節の視覚化に利用されているが、それはこれまでの画像技術では可視化が不可能だった。〔*: magnetic sensitivity, この記事の原文にはBumb本人がこの件でコメントを寄せている。〕

ナノダイヤモンドの精細な可視化特性は、がんの発見を超えて、精密な機械化手術にも利用できる。もちろんそのような手術は、がんの破壊にも利用できるだろう。これまで研磨材などに使われていたナノダイヤモンドには固まる性質があったが、Bikanta社のものは分離状態を維持し、液中での浮遊分散も安定している。しかも目的物質(アプタマーや抗体など)との結合性が良い。ということは、将来的には何らかのナノダイヤモンド製剤によりいろんな疾病の発見ができる可能性がある。今ナノダイヤモンド素材は体内の分子レベルの異状の発見に役立とうとしているが、今後は異状の予防にも貢献するだろう。

Bumbは曰く、“一人のお医者さんが一日に10人の患者を救っているとすると、100人のお医者さんの役に立つ技術を作り出す技術者は、一日に1000人の患者を助けることになる”。

(翻訳:iwatani)
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