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2014年12月17日 (16:43)

HER2陽性で脳転移数4以上は予後不良だがトラスツズマブ、ラパチニブ両剤を投与し得た患者では脳転移後生存期間が有意に延長

 他のサブタイプと比較して脳転移リスクが高いHER2陽性(HER2+)乳癌では、脳転移数4以上が独立した予後不良因子であること、トラスツズマブとラパチニブの使用により脳転移後生存期間(OS)が有意に延長し、特に両剤を投与し得た患者では、さらに有意なOS延長を得ていたことがわかった。JCOG Breast Cancer Study Groupの24施設から収集したHER2+乳癌脳転移例の後方視的解析により明らかになったもので、12月9日から13日までサンアントニオで開催されたSan Antonio Breast Cancer Symposiumにおいて、聖路加国際病院の林直輝氏が報告した。

 HER2+乳癌は患者数が比較的少ないことから、その臨床経過や予後因子についてはあまりよくわかっていない。今回、2001年4月1日から2012年12月31日までにJCOG Breast Cancer Study Groupの24施設から後方視的に収集された脳転移例1256例のうち、HER2+の432例(年齢中央値54歳)について、ホルモン受容体の状態、脳転移診断時の症状の有無、脳転移数、脳転移に対する治療、抗HER2薬による治療、再発から脳転移までの期間、核異形度と脳転移診断後OSとの関係を評価した。

 単変量解析で脳転移後OS良好との関連が認められたのは、脳転移数3以下(ハザード比[HR]0.62、95%信頼区間:0.49-0.77、p<0.0001)、脳転移後のトラスツズマブ使用(HR 0.39、95%信頼区間:0.31-0.49、p<0.0001)、脳転移後のラパチニブ使用(HR 0.46、95%信頼区間:0.35-0.61、p<0.0001)。多変量解析でも、脳転移数3以下(HR 0.725、95%信頼区間:0.576-0.912、p=0.006)、脳転移後のトラスツズマブ使用(HR 0.445、95%信頼区間:0.352-0.563、p<0.0001)、脳転移後のラパチニブ使用(HR 0.510、95%信頼区間:0.383-0.679、p<0.0001)が、良好な脳転移後OSと関連していた。さらにトラスツズマブとラパチニブ両剤を投与できた患者では、それぞれ単剤での治療、あるいは抗HER2薬を投与されなかった患者と比較して、生存期間が有意に長かった(HR示されず、p<0.001)。

 トラスツズマブとラパチニブ単剤の脳転移後OSに対する効果がほぼ同等だったことについて林氏は、「これまでトラスツズマブは血液脳関門(BBB)を通過することができないと考えられてきたが、蛍光マーカーを用いた研究などで、トラスツズマブが脳内に到達しているという報告も散見される。今回の結果はそれを支持するものでもあり興味深い。今後、抗HER2薬のBBB通過のメカニズムや、ペルツズマブ、T-DM1といった新たな抗HER2薬と予後との関係を研究することで、脳転移に対する抗HER2薬の使い分けや、新たな薬剤開発につながるのではないか」と考察した。

 なお世界最大規模、全1256例の乳癌サブタイプ別の臨床経過、予後については、2014年8月にBreast Cancer Research and Treatment誌で発表されている。本研究内容の詳細についてもすでに論文受理され、近く同誌に掲載される。
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