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2015年01月22日 (11:30)

術前補助療法でcCRを得た局所進行直腸癌患者に対する非手術的治療は安全で直腸温存に有効な可能性

 局所進行直腸癌患者では、術前補助療法で臨床的完全奏効(cCR)を得た後の非手術的治療(nonoperative management:NOM)は安全で、高率に直腸を温存できる有効な方法と考えられることが、レトロスペクティブな検討から示された。現在、これらの知見を検証する前向きのフェーズ2試験が進行中である。1月15日から17日まで米国サンフランシスコで開催されたGastrointestinal Cancers Symposium(ASCO-GI2015)で、米Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)のJesse Joshua Smith氏が発表した。

 局所進行直腸癌に対する標準的治療は、術前化学放射線療法(CRT)と外科的切除となっている。術前補助療法でcCRを得た後にNOMを行うことは、標準的なアプローチとなっていない。

 しかし、Smith氏はNOMの根拠として、術前CRT施行後に行われる直腸間膜全切除(TME)では合併症の可能性があること、病理学的完全奏効(pCR)が得られる患者は12-38%であること、pCRはcCRと相関することなどがあり、「手術は常に必要か?」という疑問が生じるとした。複数の先行研究では、術前補助療法の後で「Watch and Wait」を行った患者と外科的切除を行った患者の転帰に差はないことが示されている。

 MSKCCでは、術前補助療法でcCRが得られた直腸癌患者に対し、2006年から患者を選択してNOMを行っている。Smith氏らは、臨床転帰からNOMの安全性と有効性を評価するため、2006年から2013年までにMSKCCで行われた症例のデータを集めて検討した。

 局所進行直腸癌で術前補助療法が行われた患者は442人だった。このうち、72人は外科的切除を行いpCRを得た患者(pCR群)、73人はcCRを得てNOMを行った患者(NOM群)だった。

 標準的治療として、MSKCCでは2011年までは5FUを用いてCRTを施行後、低位前方切除術(LAR)または直腸切断術(APR)を行い、術後化学療法を行っていた。2011年以降は、術前化学療法としてFOLFOX療法を行い、その後5FUを用いてCRTを施行し、LARまたはAPRを行っている。

 NOMではサーベイランスとして、1年目は直腸診と内視鏡検査を3カ月毎、画像検査を6カ月毎に行い、2年目はそれぞれ4カ月毎と6カ月毎、その後は6-12カ月毎に行っている。各検査におけるcCRの定義はMSKCCのコンセンサス会議で決定されており、インフォームドコンセントでは局所再発やサルベージ手術に関するリスクなどを詳細に説明している。

 今回の検討の患者背景では、pCR群と比べてNOM群は有意に年齢中央値が高く(57.8歳 vs 65.2歳、p=0.01)、肛門縁からの距離が短く(6cm vs 5.25cm、p=0.02)、臨床病期のI期の患者が多かった(1.4% vs 13.7%、p=0.02)。

 両群の追跡期間中央値は3.5年だった。NOM群では72人中54人(74%)で局所再発を認めなかった。4年時のcCRは72%だった。局所再発は19人(26%)で認め、サルベージ手術として17人にTME、2人に直腸局所切除が行われた。局所再発を認めた患者の98%はサルベージ手術の併用でコントロール可能だったが、1人(1.5%)はサルベージ手術後に骨盤内再発を認めた。局所再発の多くは12-13カ月に発生していた。

 生存については、NOM群とpCR群で同様の結果となった。4年時の疾患特異的生存率(DFS)はpCR群96%、NOM群91%(p=0.2374)、全生存率(OS)はそれぞれ95%と91%(p=0.4713)だった。

 遠隔転移は、NOM群では73人中10人(13.7%)、pCR群では72人中5人(6.9%)に認めた。1年時と4年時の遠隔転移の割合は、pCR群ではそれぞれ1.5%と8.6%、NOM群では7.2%と17.3%となり、両群に有意差はなかった(p=0.0897)。

 直腸温存については、NOM群ではcCRを維持した54人とサルベージ手術として直腸局所切除を行った2人の計56人で達成され、直腸温存率は77%となった。pCR群の直腸温存率は0%だった。

  Smith氏は「今回の知見を確認するための前向き試験が必要」と話し、現在、多施設共同、フェーズ2のランダム化試験が進行中であることを紹介した。同試験では、局所進行直腸癌患者にCRTと導入化学療法または地固め療法を施行後、TMEまたはNOMを行い、3年時のDFSを評価する。
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