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2015年04月18日 (10:38)

MDN30以上の大腸癌多発肝転移例ではFOLFOXIRI+分子標的薬導入後の肝切除が有望

 大腸癌多発肝転移でMDN(Maximum Diameter×Number:腫瘍最大径×個数)≧30の症例では、FOLFOXIRI+分子標的薬を導入後に肝切除を行うことにより、長期生存が得られる可能性が示された。4月16日から18日まで名古屋市で開催されている第115回日本外科学会定期学術集会で、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器・移植外科の森根裕二氏が発表した。

 森根氏らは、大腸癌肝転移に対する肝切除の適応として、腫瘍の大きさや個数は限定しておらず、残肝容量が40%以上であることとしている。同氏らは、大腸癌多発肝転移例の長期生存を目指した治療戦略を確立することを目的として検討を行った。

 対象は、1994年9月から2014年4月までの大腸癌肝転移の患者219人中、初回肝切除を行った患者119人と、2004年以降に新規化学療法を導入した切除不能な患者49人。

 5年時の全生存率(OS)は、初回肝切除を行った患者で57.8%、切除不能肝転移に対して新規化学療法を導入後にConversionを行った患者で32.0%となり、化学療法のみを行った患者と比べて延長し、長期生存に肝切除は必須と考えられる結果だった。

 初回肝切除を行った119人では、多変量解析から、原発巣では分化度(poor)(オッズ比11.870、p<0.0001)が、転移部位では非治癒切除(オッズ比4.219、p=0.0002)に加え、MDN≧30(オッズ比2.268、p=0.0045)が、独立予後規定因子として抽出された。

 初回肝切除を行った患者の5年時のOSは、MDN<30の患者(104人)で62.6%、MDN≧30の患者(15人)で26.8%となった(p=0.003)。無再発生存期間(RFS)は、MDN<30の患者で26.9%、MDN≧30の患者で7.4%となり(p=0.017)、MDN≧30では残肝再発がほぼ必発することが示された。残肝再発に対し、再肝切除が可能だった患者と比べて、不能だった患者の予後は不良であるとともに、MDN≧30は残肝再発においても予後不良因子となった。「残肝再発をきたした患者でも、肝切除を中心に治療方針を立てるべきと考える」と森根氏は述べた。 

 切除不能で新規化学療法を導入した49人では、MDN≧30の36人を解析対象とした。36人におけるConversion率は41.6%(15人)となった。3年時のOSは、Conversionとなった患者では56.1%となり、初回肝切除を行った患者とほぼ同等の結果で、化学療法のみの患者では4.8%だった(p<0.001)。

 FOLFOXIRIの導入の有無でConversion率をみると、FOLFOXIRI+分子標的薬を投与した11人で54.5%、FOLFOXIRI以外+分子標的薬を投与した16人で37.5%、FOLFOXIRI以外を投与した9人では33.3%となった(p=0.299)。症例数は少なく、有意差には到達しないが、FOLFOXIRIによるConversion率の向上が期待された。
 
 Conversion例の平均投与期間は、FOLFOXIRI+分子標的薬を投与した患者で171.3日、FOLFOXIRI以外±分子標的薬を投与した患者で309.8日となり、FOLFOXIRIでより早期に切除可能となった(p=0.045)。

 術後成績は、FOLFOXIRI+分子標的薬を投与した患者では、FOLFOXIRI以外±分子標的薬を投与した患者と比べて有意に良好で、3年時のOSはそれぞれ83.3%と41.7%となった(p=0.042)。しかし、FOLFOXIRI+分子標的薬を投与した患者では再発までの期間も延長したものの、全例に再発を認めた。ただし、再切除可能期間(time to surgical failure)はFOLFOXIRI+分子標的薬を投与した患者で有意に延長しており(p=0.0110)、FOLFOXIRI+分子標的薬における再肝切除の割合は50%、FOLFOXIRI以外では33.3%だった。

 森根氏は「切除不能症例にFOLFOXIRI+分子標的薬を導入することにより、高いConversion率が得られ、早期に切除可能となり、術後成績も良好となった。できる限り全例に肝切除を行っているが、MDN≧30は予後を予測する1つの指標と考えられる」とした。
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