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2015年08月24日 (10:36)

がん組織に埋め込むセンサー、無線でデータ送信

 がんを専門に研究する機関である米Koch Institute for Integrative Cancer Research*)は2015年8月、がん組織に直接埋め込み、バイオマーカーのデータを無線でリアルタイムに送信するセンサーを開発したと発表した。これによって、治療薬に対するがん組織の反応をモニタリングしやすくなり、治療法や治療薬を、より適切に調整できる可能性があるという。

*)Koch Institute for Integrative Cancer Researchは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)から派生したもので、MITのキャンパス内に本拠地を構えている。

 同センサーは、生体適合性のある医療用プラスチックで作られていて、生体検査用の針先でつまめるほど小さい。pHと溶存酸素のデータをリアルタイムに外部リーダー端末に送信する。

 pHと溶存酸素は、抗がん剤などに対するがん組織の反応を見るバイオマーカーだ。がん組織は、治療薬に反応すると、より酸性になる。また、がん組織の内部環境は低酸素なので、酸素レベルを知ることは、医師が放射線治療や薬物療法で、適切や照射量・投薬量を判断するために役立つ。Koch Instituteによれば、より低酸素なら、より放射線の照射量を増やすことが必要だという。

 腫瘍の大きさなどはMRI(核磁気共鳴画像法)で撮影するが、治療薬がどの程度効果が出ているのかは、一般的に生体検査で行っている。生体検査は患部の一部を切り取る侵襲(身体に傷をつけること)的検査なので、患者に心身ともに負担をかけることも多い。今回開発したセンサーは、最初の生体検査の時に埋め込めば、後はセンサーからのデータをモニタリングするだけで済むので、侵襲の程度を最小限に抑えることが可能になる。

MRI装置を使わない検査を

 センサーには10mlのMRI造影剤も含まれている。開発チームは4年前に、MRI装置で読み取れる生体埋め込み型センサーを開発している。Koch Instituteの研究者で、MITの材料科学学科で教授を務めるMichael Cima氏は、ニュースリリースの中で、「MRIの検査は費用がかかり、日常的に行うのは難しい。今回開発したセンサーによって、MRI装置を使わなくても同等の検査ができるようにしたい」と述べている。

ワイヤレス給電が可能

 センサーとリーダー端末の両方にコイルが搭載されていて、磁気共鳴方式のワイヤレス給電によって、センサーを充電することができるという。

 Cima氏ら開発チームは、マウスを使った実験に既に成功している。マウスにセンサーを埋め込んでまだ数週間しかたっていないが、Cima氏は、このセンサーを使って何年間も患者の状態をモニタリングできると確信しているという。「現在、心臓のペースメーカーや除細動器など、体内に医療機器を埋め込んでいながらも元気に生活している患者が何千人もいる。今回われわれが開発したセンサーは生体適合性のある物質を使っているし、小型であることから、長期間にわたり体内で使用しても問題はないと考えている」(同氏)。
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