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2015年07月01日 (16:16)

がん細胞の運動解明 富山大・櫻井教授グループ


■分子標的薬の開発期待
 富山大大学院医学薬学研究部(薬学)の櫻井宏明教授(がん細胞生物学、写真)らの研究グループが、がんの転移に関わる細胞内の情報伝達メカニズムを新たに発見した。最近は抗がん剤に代わり、がん細胞の増殖や転移を起こす特定の分子を狙い撃ちする「がん分子標的薬」の開発が進んでおり、研究成果は新たな分子標的薬の開発につながる可能性がある。英科学誌の電子版「ネイチャーコミュニケーションズ」に7日掲載された。

 分子標的薬は、ゲノム解読が進み、がん細胞の分裂システムが明らかになってきたことで、15年ほど前から急速に開発が進んでいる。従来の抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃するため重い副作用が課題だった。がん細胞の増殖や転移を引き起こす特定の分子をピンポイントで攻撃する分子標的薬は副作用が少なく、患者の負担も軽くなるという。

 がん細胞は異常に分裂・増殖するだけでなく、細胞が動くことで周囲の組織に広がり、血管に入り込んで他の臓器に転移するという正常細胞にない特徴がある。がん細胞の運動や転移のメカニズムを研究する櫻井教授らは、細胞膜上にある受容体で「EphA2」と呼ばれるタンパク質に注目。EphA2は、がん細胞の運動や転移に重要な役割を果たしているが、詳しい仕組みは不明だった。

 研究ではEphA2がどんな刺激で活性化されるのかを調べた。その結果、「RSK」と呼ばれる酵素がEphA2を働かせる“スイッチ”となっていることを発見。さまざまな発がん遺伝子の中で、乳がんや肺がん、皮膚がんなどの特定の発がん遺伝子がRSKを活性化させることも突き止めた。EphA2は、がん細胞の中で動く方向に多く含まれることも分かった。

 実際の肺がん患者約350人の腫瘍(しゅよう)組織を調べたところ、一部の患者で活性化したRSKとEphA2が同じがん細胞内に存在することを確認。さらに、RSKとEphA2の両方が活性化している患者グループは、活性化していないグループに比べて早く亡くなる傾向があり、中でも喫煙歴のあるグループはその傾向が強かった。

 今回の研究は金沢大がん進展制御研究所と共同で実施。櫻井教授は「今回の成果がRSKを標的とする新薬の開発につながるとともに、別の新たな標的分子を探す研究が進むきっかけになればいい」と話している。

北日本新聞社
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