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2015年05月07日 (11:39)

がんと闘う新発見、ビタミンA関連の「ATRA」が効果、米国ハーバード大学が報告

 がんの大元を断つ新しい治療が実現するかもしれない。

 ビタミンAの関連物質である「オールトランス型レチノイン酸(ATRA)」ががんの大元となる細胞を殺す可能性があると分かった。

 米国ハーバード大学が発見した成果で、幅広いがんに効果を示し得る新しい治療になりそうだ。「急性前骨髄球性白血病(APL)」と呼ばれる白血病の一種では初めての標的薬の候補になるかもしれない。

がんの幹細胞を撃つ

 国際的医学専門誌ネイチャー・メディシンのオンライン版で2015年4月13日に報告しているものだ。

 研究グループが着目したのは、がんの大元となる幹細胞だ。

 幹細胞は、がん化から転移や薬物耐性にも影響する。がんの幹細胞を根絶する大きな意味を持つが、そこだけを攻撃できる薬はなかなか見つからなかった。

 研究グループでは、「Pin1」と呼ばれるタンパク質を邪魔する物質を特定した。Pin1は多くのタイプのがんをコントロールする遺伝子の一つとして注目されるもの。50種類以上のがん遺伝子やがん抑制遺伝子を統率する。「がん遺伝子の大元締め」といった位置付けにある。がん幹細胞にも欠かせない。

 従来、Pin1は注目されていたが、働きを邪魔する研究に成功してこなかった。

 研究グループは、世の中にある8200もの化学品を網羅的に調べて、Pin1を邪魔できる物質を突き止めた。

 効果ありと判定されたのが、「オールトランス型レチノイン酸(ATRA)」と呼ばれるものだ。ビタミンAの一部が変化した化学物質だ。がん細胞で活動中のPin1だけを選んで押さえ込み、分解していくと分かった。

がん遺伝子の融合を阻止する

 従来、ATRAが白血病の一種である「急性前骨髄球性白血病(APL)」に効果を示すと報告があった。この白血病は2つのがん遺伝子が互いにくっつくと白血病を起こす。ATRAはこの融合を邪魔するのだ。今回、Pin1とATRAが関係するというわけで、がん遺伝子がくっついて悪さをするような場合にほかのがんでも効果を示す可能性もあると研究グループは考えている。

 「融合遺伝子」と呼ばれる現象で、がんの原因としてこのところ注目されてきている。新しい治療として発展してくるかもしれない。

 さらに、乳がんの中でも治療の困難な「トリプルネガティブの乳がん」のがん細胞に対して、ATRAを使って効果を検証。トリプルネガティブとは、がん治療の標的になる3つのタンパク質のいずれも持っていないがんを指す。女性ホルモンに反応するエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体のほか、HER2というタンパク質がない。薬が効きにくいのが問題だ。結果として、ATRAによって、トリプルネガティブ乳がんの細胞の成長を抑制できると示している。

 がんを抑え込む新しい治療として重要になるかもしれない。
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