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2015年02月21日 (10:23)

親の願い届いたか、子どものがん「神経芽腫」に新たな治療のターゲット発見

DNAの異常を修復する場面でミスを起こす酵素
がん

 治りにくい子どものがん「神経芽腫」。新たな治療法の開発が急がれている。今回このがんで、新たな治療のターゲットが見つかった。DNAを修復するときにミスを起こしやすい酵素だった。

 米ミシガン大学医学部の研究グループが、がんの基礎医学の専門誌モレキュラー・キャンサー・リサーチ誌で2015年1月6日に報告したものだ。

神経芽腫では遺伝子異常が多い

 「神経芽腫」は、難治性小児がんの1つで、神経の元となる若い細胞が悪性化してがんになったものだ。

 神経芽腫では、正常ならば細胞に1つだけ存在する、細胞増殖のアクセル「MYCN遺伝子」が増えている場合がある。その数が多いほど、がんの悪性度は強い。

 さらに、神経芽腫の細胞を取ってきて染色体の形を調べてみると、1番染色体短腕(1p)、11番染色体長腕(11q)が欠けていたり、17番染色体長腕(17q)が増えていたりする場合があるが、こうなっているとがんが再発しやすく、悪性度が高いと分かっている。

 細胞が増殖する際にDNAも複製されるのだが、この複製が正しく行われなかったとき、修復するしくみが細胞には備わっている。例えば、DNAの2重らせんがほどけて切断している場所では、「非相同末端結合(ひそうどうまったんけつごう、NEHJ)」という、DNAをつなぎ合わせる仕組みで修復される。

 修復がうまくできなかったときに、神経芽腫で起きているような遺伝子の増幅や染色体の異常が生じると言われている。今回研究グループはここを検証した。

DNA修復でミスを起こす酵素

 まず、シャーレの中で、神経芽腫の細胞にDNAを人工的に導入し、そのDNAに対する修復の様子を調べた。すると、正常な細胞に比べて修復ミスが多かった。

 よく調べたところ、神経芽腫の細胞で作られている「DNA修復に関わる酵素」は、正常な細胞のものと種類が違うと分かった。一つには、DNA修復に関わる「DNAリガーゼ4」「アルテミス(DCLRE1C)」が作られていなかった。さらに、この代わりに修復エラーを起こしやすい酵素「DNAリガーゼ3α」「DNAリガーゼ1」「PARP1」が多く作られていた。「非相同末端結合」に異常が生じて、遺伝子異常につながると分かった。

 異常を起こす「DNAリガーゼ3α」「DNAリガーゼ1」も邪魔をしてしまうと神経芽腫の細胞は死んだ。いろいろな人から採取した神経芽腫の細胞で、「非相同末端結合」の異常を起こしている2種類の酵素の量を調べて、治療成績と比べた。酵素の量が多くなって、「非相同末端結合」の異常が起こるほど予後が悪かった。

 研究グループは、今回発見した「非相同末端結合」の異常に関連する酵素は、神経芽腫の新たな治療のターゲットにできると見る。DNAの修復のミスはがんとの関係が注目されているところ(「本当に最も恐ろしいがん」細胞分裂のときのエラーが一番怖い)。解決に向けた動きが進みそうだ。
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