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2015年01月27日 (10:57)

かつての天然痘ワクチン、膵臓がんの「がんウイルス療法」に、抗がん作用の増強成功

「インターロイキン10」作らせ、免疫に排除されづらい仕組みに
がん

 かつて天然痘のワクチンとして使われた「ワクシニアウイルス」。現在は膵臓がんの「がんウイルス療法」に利用する研究が進行している。

 このたび、ワクシニアウイルスを改変して、抗がん効果を増強、かつ長続きさせることに成功した。

がん細胞だけを殺す「がんウイルス療法」

 英国のロンドン大学クイーン・メアリーを中心とする研究グループが、がんの臨床研究の国際誌クリニカル・キャンサー・リサーチ誌オンライン版で、2014年11月21日に報告したものだ。

 最近、「がんウイルス療法」と呼ばれる、ウイルスを利用したがんの治療法が注目を浴びている。これは、がん細胞だけを殺してしまう特徴を持つウイルスを利用した治療法だ。ヘルペスウイルス、アデノウイルスの研究が特に進んでいるが、「ワクシニアウイルス」もその1つで、膵臓がんに効くとして注目されている。

 しかし、がんを殺すウイルスも、体にとっては「ウイルス」であり、「外敵」。ウイルスに対する免疫反応をいかに抑えて、抗がん効果を持続させるかが課題となっている。

「インターロイキン10」を作るワクシニアウイルス

 研究グループは今回、本来、白血球が生産する免疫物質である「インターロイキン10」(IL-10)を産生するワクシニアウイルスを作った。

 インターロイキン10は、免疫の働きのうち「外敵への攻撃」を抑える作用を持つ物質だ。ワクシニアウイルスは、インターロイキン10を作れるようになったことで、免疫系からの攻撃をかわして長い期間、体内に留まることができるようになり、その結果、ウイルスの抗がん作用が最大限に生かせると予想された。

 今回の研究では、インターロイキン10を作るようにしたワクシニアウイルスと、作らない通常のウイルスを、膵臓がんの細胞や膵臓がんモデルマウスに感染させ、ウイルスが膵臓がんにとどまる期間やがんを殺す能力などを比較した。

免疫に攻撃されづらいウイルスで抗がん効果アップ

 その結果、実際に、インターロイキン10を作るワクシニアウイルスは、作らないウイルスよりも、膵臓がんモデルマウスの体内に長くとどまり、優れた抗がん効果を発揮した。また、その効果はより長期間にわたって続くことが確認された。

がんを殺すT細胞がよく増えた

 がん細胞を殺す作用を詳しく調べたところ、このウイルスは、免疫細胞のうち「T細胞」と呼ばれるリンパ球の作用を増強させる効果があると分かった。

 さらに、T細胞のうち、がんを攻撃するT細胞は増えていたが、ウイルスを攻撃するT細胞はあまり増えていなかった。

 また、がん細胞も殺すがウイルスが感染した細胞も殺してしまう「NK細胞」は特に増えていなかった。

 今後の開発に期待したい。
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