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2015年10月01日 (10:39)

大腸癌に対する腹腔鏡下手術、日本では重度の合併症発生に施設間差は認めず

 II/III期の大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術は、重度の合併症の発生には施設間差を認めず、治療選択肢として受容可能と考えられることが、第III相のJCOG0404試験のデータの解析から示された。9月25日から29日までオーストリア・ウィーンで開催されているEuropean Cancer Congress 2015(ECC2015)で、国立がん研究センター研究支援センター(JCOGデータセンター/運営事務局)の片山宏氏が発表した。

 施設症例数および外科医の経験数は、複数の癌腫で短期および長期の転帰と相関することが報告されている。大腸癌患者に対する開腹手術と腹腔鏡下手術では、転帰に対する施設間差についての報告はない。

 JCOG0404試験は、II/III期の大腸癌患者を対象として、D3郭清を伴う腹腔鏡下手術(LAP)の開腹手術(OP)に対する非劣性を検証したランダム化比較試験である。対象は、組織学的に大腸癌と診断され、腫瘍の主占居部位が盲腸、上行結腸、S状結腸、直腸S状部のいずれかで、T3/T4(他臓器浸潤を除く)の患者だった。大腸切除術を開腹手術で行う群(OP群)と腹腔鏡下手術で行う群(LAP群)を比較し、主要評価項目は全生存期間(OS)だった。

 2004年10月から2009年3月までに、国内の30施設から1057人が登録され、OP群528人、LAP群529人となった。同試験では手術の質を確保するため、参加する外科医の経験数の基準を設定するとともに、手術手技について写真と画像による審査が行われた。

 同試験では、両群ともにOSが予測以上に良好でイベント不足となり、LAP群のOP群に対する非劣性は示されなかった。ただし、両群の5年生存割合は90%をともに超えており、II/III期の大腸癌に対する腹腔鏡下手術は治療選択肢となると結論された。

 今回の検討の目的は、JCOG0404試験のデータを用いて、安全性と有効性に関する施設間差を評価することと、転帰と施設因子の相関を検討することだった。

 安全性解析の対象は26施設の1028人、有効性解析の対象は26施設の1040人となった。評価項目は、安全性については入院期間中の術後早期合併症(吻合部リーク、小腸閉塞、イレウスなど)の発生数、有効性については5年全生存率(OS)と5年無再発生存率(RFS)とした。転帰と施設因子の相関の検討では、推定される転帰を安全性と有効性とし、施設因子はJCOG0404試験への登録患者数、登録期間中の施設症例数(OP、LAP)、外科医の経験数とした。

 施設間差は、年齢、性別、共存症、腫瘍の占居部位、BMI、臨床病期を調整後、ランダム効果として施設の混合効果モデル(mixed effect model)で評価した。

 解析対象であるOP群519人、LAP群521人において、年齢中央値はいずれも64歳、共存症とBMIも両群で同様だったが、LAP群はOP群と比べてII期の患者が少なく、III期の患者が多かった。手術所見では、LAP群で手術時間中央値が45分長く、出血量が100ml未満の患者が多かった。

 安全性解析では、Grade 1-4の術後早期合併症について、施設間差は両群で認められた。Grade1-4の術後早期合併症は、OP群で112件、LAP群で75件発生し、発生率の中央値は、OP群20.8%(範囲:13.2-31.8%)、LAP群11.9%(範囲:7.2-28.7%)だった。LAP群のうち、2施設はそれぞれ21%と28%と高値だった。

 一方、Grade 2-4の術後早期合併症については、施設間差はLAP群のみで観察された。Grade 2-4の術後早期合併症は、OP群で69件、LAP群で62件発生し、発生率の中央値は、OP群12.7%(範囲:12.7-12.7%)、LAP群8.8%(範囲:4.7-24.0%)となった。

Grade3-4の術後早期合併症については、施設間差は両群ともに認めなかった。Grade3-4の術後早期合併症は、OP群で34件、LAP群で20件発生し、発生率の中央値は、OP群6.3%(範囲:6.3-6.3)、LAP群2.6%(範囲:2.6-2.6)だった。

 有効性解析では、5年OSについて、施設間差は両群ともに認めなかった。5年OS中央値は、OP群92.0%(範囲:92.0-92.0)、LAP群92.0%(範囲:87.9-95.4%)だった。

 一方、5年RFSについては、LAP群である程度の施設間差が認められた。5年RFS中央値は、OP群81.9%(範囲:81.9-81.9%)、LAP群80.8%(範囲:69.8-89.6%)となった。

 推定される転帰と施設因子の相関については、転帰に影響する因子はなかった。
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