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2017年03月14日 (14:20)

乳がん発見にもメリット 「ホルモン補充療法」最新事情

更年期障害の治療「ホルモン補充療法(HRT)」は、乳がんリスクを上げるのか? 湘南記念病院乳がんセンター長の土井卓子医師が調査した。

 更年期障害で苦しむ妻の姿に胸を痛めている男性も多いのではないか? 症状を和らげる効果の高い治療としてHRTがあるが、「乳がんのリスクを上げるのでは」という議論があり、治療をためらう人もいる。

 2008年に埼玉医大が初めて日本人女性を対象とした調査結果を発表。全国7施設の多施設共同研究として、乳がん患者とそうでない患者を比較(全対象者のうちHRT歴がある人は7.4%)したところ、「HRTは乳がんの発症リスクを高めない」との結果が出た。

 ただ、HRTの普及率は日本で2~3%(欧米では40%)と少なく、それ以外の研究が行われていないのが現状だ。

 一方、湘南記念病院では、「HRTを受ける場合、マンモグラフィー(マンモ)と超音波の乳がん検診が必須」としている提携クリニックがあるため、HRT歴のある女性受診者が多い。それが、今回の土井医師の調査につながった。ちなみに「必須」としている医療機関はごく少数だ。

 同病院で13年7月~16年11月に乳がん検診を受けた女性2229人のうち、「HRT歴がない」人は1058人しかいない。ドック型の乳がん検診は年齢制限がなく、HRTの対象ではない20~30代も含まれているうえ、一般的なHRTの普及率を考慮すると極めて少ない数字だ。

「7月の乳がん学会での発表に向けて解析を行っている最中ですので、これが結論にはなりませんが、乳がんの発見率を単純比較すると、HRT歴のある人が1.7%、ない人が0.57%でした」

 発見率は「対象者のうち、乳がん患者が何人いたか」を示しているだけなので、「HRTを受けると、乳がんの発症率が高くなる」という証明にはならない。しかし土井医師は、この結果からHRTが乳がんの発見・治療にとってメリットにつながると指摘する。

■更年期障害のつらさを抱えているなら

 まずは、早期発見のチャンスを得られる。提携クリニックが「HRTを受ける場合、マンモと超音波が必須」としているため、今回の調査対象者には、「HRTを受けなければ、乳がん検診も受けていなかった人」が含まれている。乳がんを早期発見するチャンスを逃していた可能性のある人もいたということだ。

「乳がんは早期発見すれば、予後が良くなります。HRTがそれに一役買っている」

 次に、マンモも超音波も受けることで、乳がんの見落としを避けられる。そもそも、日本では乳がん検診の普及率が低く、しかも一般的な乳がん検診には超音波はなく、マンモだけという場合がほとんど。最近はこれが問題視されている。マンモでは発見しづらいタイプの乳腺組織があるからだ。

「理想は、マンモと超音波の両方を毎年受ける。せめて、2年に1回は超音波を加える。HRTによって、マンモと超音波を受けるようになれば、乳がんの見落としのリスクも減るでしょう」

「マンモでは発見しづらいタイプの乳腺組織」とは、高濃度乳腺のこと。若年者では高濃度乳腺が多数を占め、加齢によってそうでなくなってくるが、HRTをしていると年を取っても高濃度乳腺に属する人がいる。より、マンモと超音波の検査が必要になる。

 研究の解析中ということもあり、はっきりした結論はまだ出せないものの、土井医師は言う。

「HRTによって、医学管理(定期的な検査など)の徹底と、乳がんの早期発見が期待できる。更年期障害のつらさを抱えているなら、前向きに検討すべきと考えます」
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