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2017年05月03日 (14:17)

がん抑える化合物発見 九州大など、数年内に新薬開発目指す

 九州大学生体防御医学研究所の福井宣規教授や東京大、理化学研究所などのチームが難治性がんについて、がん細胞の生存や転移に重要な役割をしているタンパク質を突き止め、この働きを阻止する化合物を見つけたと発表した。数年内に治療薬の開発を目指す。2日付の米科学誌セル・リポーツ電子版に論文を掲載した。

 チームが研究対象としたのは、変異したがん遺伝子をもつがん。変異遺伝子は膵臓(すいぞう)がんのほとんどや、大腸がんの約5割で見られるなど、がん全体の3分の1で確認されている。有効な治療薬は開発されておらず、難治性とされる。

 これまで、変異遺伝子をもつがんの増殖や転移は、細胞の形態変化を促す分子「RAC」の活性化が原因であることが分かっていた。しかし性質上、RACを直接コントロールする薬の開発が難しいことから、RACを活性化させている分子を見つけ出すことが課題だった。

 福井教授らは、RACに関係する多数の分子のうち、「DOCK1」というタンパク質に注目。DOCK1を発現しないよう遺伝子操作したところ、がん細胞の周辺組織への浸潤や、細胞外からの栄養源の取り込み活動が低下し、がん細胞の生存度が落ちたという。

 このことから、チームはDOCK1が、RACの活性化に大きな影響を与えている分子だと判断。DOCK1の活動を抑えれば、RACの活性化を防げると考え、約20万種の化合物の中からDOCK1の活動を阻害する「TBOPP」を探し出した。がん細胞を移植したマウスに投与したところ、転移や腫瘍の増大が抑えられ、明白な副作用もなかったという。

 研究チームは「変異遺伝子をもつがんの治療に役立つだろう。実証を重ね、効果的で安全な抗がん剤を作り出したい」としている。

=2017/05/03付 西日本新聞朝刊=
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