ガン完全克服マニュアル

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2017年05月04日 (11:16)

韓国で初めて、日本製最先端のがん治療装置は導入されるか

日立が延世大医療院から重粒子の独占交渉権

 日立製作所は韓国大手大学病院の延世大学校医療院から同国初となる重粒子線がん治療装置の納入に関する独占交渉権を獲得した。数カ月間の交渉で装置の仕様や金額、納期などを詰め、正式な受注獲得を目指す。

 延世大学校医療院は傘下のセブランス病院(ソウル市)に同装置の建設を計画している。今後、建屋の設計に必要な技術情報を提供するなど建設に協力し、契約交渉を進める。契約が決まれば韓国において初めての粒子線がん治療装置となる。

 日立は米MDアンダーソンがんセンター(テキサス州)をはじめ、日米、アジアで陽子線治療装置を納入している。重粒子線は「大阪重粒子線センター」(大阪市中央区)を2018年の治療開始に向け建設中だ。契約が決まれば、海外初の重粒子線の受注となる。

<次世代の研究でも日本は世界でリード)

 日本はがんをピンポイントに治療する「重粒子線がん治療」の次世代技術開発に向けた取り組みが始動した。“第5世代”となる同研究は2026年をめどに装置の費用、サイズを抜本的に低減し、一般病院に設置可能とするのが目標だ。がんの撲滅が世界的に急務となる中、オールジャパンで次世代がん治療の研究で世界をけん引する考えだ。

 日立のほか、量子科学技術研究開発機構(量研機構)と住友重機械工業、東芝、三菱電機の4社は昨年12月、次世代の重粒子線がん治療装置を研究する包括協定を結んだ。量研機構の平野俊夫理事長は「将来のがん治療の基本手法とし、『がん死』ゼロの実現を目指す」と話す。

 レーザー加速技術や超電導技術などを採用し、装置の大幅な小型化・低コスト化を実現。建物サイズを従来の10分の1程度にし、建設コストも100億円以下を目指す。線種も炭素に加えてヘリウムや酸素などに広げ、治療効果を高めることで外科治療に変わる「量子メス」として早期の実用化を目指す。各社の費用負担、役割分担などが課題。

 重粒子線治療は94年に放射線医学総合研究所(放医研、現量研機構)が世界で初めて専用装置「HIMAC(ハイマック)」で臨床試験を始めた。入射器は住重、主加速器は東芝と日立、照射室は三菱電機が担当。1万人超の治療実績がある。

 陽子線、炭素線(重粒子線)などの粒子線治療は一定の深さで線量が最大となるため治療効果がX線の2―3倍と高く、正常組織への影響も低減できる。特に炭素は放射線に強い腫瘍にも有効だ。昨年4月には骨軟部腫瘍に保険適用され、今後の適応拡大も期待される。

 重粒子線は陽子線に比べ扱いにくく、装置も大型化し、高コストなのが課題だ。このため装置は建設中も含め世界10数施設にとどまる。ただ高い治療効果から今回の韓国をはじめとするアジア、米国などで導入が計画されるなど変化の兆しもある。

 重粒子線治療の研究はこれまで日本と欧州がリードしてきた。だが、ドイツの重イオン科学研究所(GIS)は医療用の重粒子線の研究所を閉鎖し、独シーメンスも装置の製造から撤退した。日本では量研機構がハブとなり、企業・大学と共同研究も進むなど世界的に有利な立場にある。

 まだ市場規模が小さいが、適用拡大が進めば「市場規模は1兆円以上になる」(野田耕司量研機構放射線医学総合研究所長)。今回の共同研究が研究から医療としての普及に向けた橋渡しとなる。
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