ガン完全克服マニュアル

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2017年06月20日 (09:59)

進化を続ける「がん三大治療」ー 主治医選びで大切なことは?

がんは「不治の病」ではなくなりつつある

もし、がんを告知されたら、納得のいく最善の治療を受けたい。誰もが願うことである。そのためには、患者自身もある程度の知識を持つ必要がある。もちろん治療方針を決めるのは主治医だが、相談しながら納得のいく治療を進めていくことがより良い治療を実現するための必須事項なのだ。

だとすれば、なってから調べるよりも、あらかじめ治療の選択肢やリスク、実情を知っていたほうが、最短距離で納得のいく治療に辿りつけるかもしれない。そこで、内科クリニックで「がんのセカンドオピニオン」も行っている今津嘉宏医師に、最新治療事情や治療を受ける上での心構えについて伺った。

「まず大切なのは、がんは“不治の病”ではなく、“治る病気”になったという認識を持つことです。高齢化により、がんで死亡する人は増えていますが、医学は大きく進化し、早期の『病期1』で発見されたがん全体の5年生存率も90.1%まで増加しました※。これはがんの予防や検診が発達・普及し、早期発見の確率が増えたことに加え、治療法が大きな進歩を遂げたため。ゆえに、がんをむやみに怖がらず、“治る病気”と認識して治療としっかり向き合っていくことが大切になります」

気は心。治る可能性は十分にある、と前向きに治療に臨むことが、体にも良い影響をもたらすのだ。では、治療法の進化とは具体的にどのようなことなのだろうか。

「がんがわかってから一番はじめに行うのが、病状を細かく知るための検査です。現在は、腫瘍マーカーやCT、エコー、MRI、PETなどさまざまな検査方法が登場して精度が上がったため、病状の正確な把握が可能になり、より的確な治療が可能になりました」

以前のように、開腹してみなければ本当の病状がわからないというケースも激減。最適な治療を最短距離で受けられるようになっている。では、その後に行われる三大治療やその他代替療法の最前線とはどのようなものなのだろうか。
「三大治療」と、「補完代替療法」・「免疫療法」

がん治療には、主軸となる三大治療がある。手術などによる「外科治療」、抗がん剤・ホルモン剤などによる「薬物治療」、そして「放射線治療」だ。それら自体は1970年代に確立されてから変わってないが治療技術は大きく進歩し、高い効果だけでなく、できるだけ体に負担の少ない方法(低侵襲・局所療法)が登場している。

「外科治療でいえば、2~10ミリの穴から内視鏡を体内に入れて行う内視鏡下手術や、より正確な作業を可能にした手術支援ロボット『ダヴィンチ』などが登場し、体への負担が減って入院期間も短くなっています」

最近ではこの内視鏡手術により、多くの人が最小限の傷跡で余分な体力を使うことなく回復を早めている。しかし、腹腔鏡による肝臓切除手術で死亡事故が多発した事例もあり、リスクもある。肝胆膵(肝臓・胆のう・膵臓)など立体的な臓器の切除など、腹腔鏡手術では難しいケースがあることも覚えておこう。

「薬物治療では、進行性がんに効く抗がん剤が多く登場したことで、以前は手術不能であった進行性がんの延命も可能になりました。放射線治療も、電子線、陽子線、重粒子線などさまざまな種類が登場し、健康な細胞をできる限り傷つけず、さまざまな角度からがん細胞にだけより強い放射線を照射することが可能になっています」

これらの三大治療のどれを選択するかは、がんの進行度や種類によって決まってくる。早期発見の場合やがんが原発巣に止まり転移が認められない場合は、「放射線治療」や「外科治療」によって“局所療法”が行われる(点滴などで局所的に抗がん剤治療を行う場合もある)。

しかし全身にがん細胞が広がっている場合は、「薬物治療」によって “全身療法”を行う。また、抗がん剤で全身のがん細胞を小さくしてから手術を行うといった併用治療を行う場合もある。

また最近では、これら三大治療以外にも「補完代替療法」や「免疫療法」などが話題になっている。実際の効果はどうなのだろうか。

「健康食品やサプリメント、鍼灸、アロマテラピー、栄養療法、動物療法などの補完代替療法は、あくまで補助的、代替的な存在であり、がんの治療法として正式に効果が認められているものはありません。しかし先の三大治療と併用することで効果を高めたり、治療そのものが難しい場合の緩和療法として行わる場合もあります。一方で、三大治療の効果を弱めたり、がんを悪化させるものもあるので、必ず医師の診断のもとに行うようにしましょう」
補完代替医療について、詳しくは日本緩和医療学会のホームページを参照してほしい。気になる療法があったら主治医に相談してみよう。
「免疫療法は、自分が持つ免疫の力を高めてがん細胞を減らす治療法。昨今、注目を集めている高額新薬『オプジーボ』も免疫療法の一つで、がん細胞が出す免疫抑制物質を阻害して免疫力を高める薬です。ただし、免疫療法は副作用に関して予測不能な部分もあり、こちらの医師の診断のもとに行うことが大切です」
治療法が大きく進歩している一方で、リスクがあることも忘れてはならない。むやみに恐がる必要はないが、何かあってからでは遅い。リスクを知った上で主治医を信頼し、治療を進めるのが悔いのない治療の実現につながる。
「適した治療法」を主治医が使い慣れているか

こうしたさまざまな治療から自分の病状にあった最適な選択をするには、病院・主治医選びが大切になってくる。どうすればいいのか。

「多くのがん患者さんは、名医にかかりたいと願うわけですが実際はそれがすべてではありません。日本の医療水準は高く、ガイドラインに沿って治療を行うので、基本的にはどこの病院へ行っても同様の治療が行われます。肝心なのは、自分の病状に適した治療法を担当主治医が使い慣れているかどうか。経験の豊富な医師が行うほどその治療法は有効になるので、医師にとっての得意分野かどうかを見極めましょう」

日本全国の先進医療を扱う大学病院やがんセンターなどであれば、チーム医療が行われており、多くの先生が1人の患者の治療法について検討するため、より正確な判断を期待できる。それゆえ、重視すべきは医師との相性だという。

「きちんと意思疎通ができて納得のいく状態で治療を受けることが大切なので、主治医が生理的に苦手だったり、説明がわかりづらいと感じたら、セカンドオピニオンを受けるべき。そうでなくても、より治療法に確信を持つためにセカンドオピニオンを受けることはプラスになります」

今津先生によれば、主治医が慶応大学系の病院出身であれば、東大系や慈恵医大系など、系統の違う先生を受診するのがよいそう。セカンドオピニオンは主治医の先生に言いづらいと感じる患者さんも多いようだが、都市部では当たり前になってきている。むしろ快く送り出してくれないような先生はやめたほうがいいかもしれない。

「病院にどのような設備があるかや、通いやすい病院かどうかということも重要です。名医がいるから、先進医療が受けられるからと遠い病院に通い、精神的にも肉体的にも負担がかかるようでは治療に悪影響が出てしまいます」

見落としがちだが、精神的なカバーができているかによって治り方は変わってくる。主治医や治療に対して信頼の置ける環境で、前向きに治療を向き合うことが大切なのだ。


今津嘉宏先生
芝大門「いまづクリニック」院長。日本がん治療認定医機構 認定医、日本がん治療認定医機構 暫定教育医。がんにまつわるメディア出演や著書、講演など多数。
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文=井上真規子(verb) イラスト=さいとうひさし
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