ガン完全克服マニュアル

当ブログはガンを克服するための最新治療法を全て掲載しています。
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2017年07月03日 (10:52)

小さな子を持つがん患者 不安と悲しみの先の希望

子どもを持つがん患者同士がインターネット上で交流することができるコミュニティーサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」。主宰する西口洋平さん(37歳)がステージ4と告知されたがん経験やそのときに感じた孤独や不安から、「似た境遇の人同士が語り合い、前向きになれる場をつくりたい」と、2016年4月に立ち上げた。現在、1000人以上が登録している。

 仕事や子育て、お金のことなど、がんに関わる様々な悩みや現状について対面で情報交換したり、医療従事者とがん患者が本音で語り合ったりするイベントも不定期で展開。東京・大阪でのオフ会に続き、地方での開催を希望する声に応えて今年3月には、名古屋で「キャンサーペアレンツの集い in Nagoya」を開催した。「順風満帆に生活してきて、子どももできてこれからというときにまさか…」「親の命とその向き合い方を子どもが間近で見聞きすることで、自分の命を大切にしてもらえたら」――。ごく普通の子育て家庭に突きつけられた、「がんになる」という現実。悩み苦しみながらも命と向き合い、家族と共に前を向いて生きていく親たちの姿をリポートする。

(上)小さな子を持つがん患者 不安と悲しみの先の希望  ←今回はココ
(下) 西口洋平 ステージ4のがん経験 子に伝えたいこと


 今年3月、名古屋東京海上日動ビルディングを会場に行われた「キャンサーペアレンツの集い in Nagoya」。当日は、家族連れを中心に30人を超える参加者が集まり、自身のがん体験や子どもへの告知、治療費や教育費の工面、入院中の育児や家事など普段なかなか情報交換ができない話題について、時にユーモアを交えながら穏やかに語り合った。

 参加者が患っているのは、乳がんや胆管がん、肺腺がん、さらに希少がん(年間発生数が人口10万人当たり6例未満の悪性腫瘍)に当たる小腸がんなど部位も進行も様々。中には、医師から末期(ステージ4)の宣告を受けたり、複数の部位に転移をしたりと進行した状態の人もいるが、主宰者の西口洋平さんをはじめ、事前にキャンサーペアレンツのサイト上で交流をしている参加者も多く、和やかな雰囲気だ。

 「子どもを持つがん患者の交流会」と知らなければ、一見、子育て世帯を対象とした親子のコミュニケーションセミナーのよう。しかし、会冒頭の自己紹介を聞くと、それぞれが抱える深刻な状況と、「同じ悩みを持つ人同士が交流し情報交換することで、前を向いて病気と闘っていきたい」という共通した深く強い思いが伝わってくる。




<参加者の自己紹介より> ※コメントを一部抜粋・編集

■ 卵巣がんで今年5月に手術して、抗がん剤治療が終わって少し落ち着いたところ。キャンサーペアレンツを通じて皆さんとメールでやり取りし、同じ境遇の方たちから直接お話を聞きたいと思って参加しました。この写真を選んだのは、親子が仲良く手をつないでいるような写真に見えたから。今、娘と二人暮らしということもあって、娘と手を取り合って生きていきたいなと思いました。(8歳女の子の母)

■ がん種は、肺腺がんです。今日は、妻に誘われて参加しました。(川のせせらぎを写した写真を指差して)僕は釣りが好きなので、この写真を選びました。(4歳女の子、2歳男の子の父)
(妻)普段キャンサーペアレンツで交流しているのは私がメインで、交流する中で不安を昇華したり、希望や前に向く力をもらったりしていることがとても多い。今日は夫も連れてきて、それを味わってもらえたらと思いました。私が選んだ、人が集まる写真の中心にいるのが、ぐっち(西口洋平)さん。私はその周りで座っている人で、今日何が始まるかどきどきしている姿に共感しました。

■ がん種は、乳がん。今まで治療していても、同じような年代の方とお話しすることがありませんでした。こういう場を借りて皆さんと交流ができたらと思い、参加しました。選んだのは、手と手がしっかりつながっている写真。自分一人で抱えるのではなくて、つらいときには皆さんとつながれたらと思って選びました。(8歳と3歳の男の子の母)

■ 僕は胆管がんで、西口さんと同じ部位。医師から診断されてかなり落ち込んだ中で、自分の“使命”というか、残された時間を前向きに過ごしたいという西口さんの記事に共感して、今回直接パワーをいただきたいと思い参加しました。(選んだ写真の)砂漠って、マイナスのイメージもあるけれど、長い時間をかけてできた自然の美しさみたいなものがあります。そういう意味でがんは絶望だけれど、そんな中でもこれからの人生一日一日を大切に生きていきたいという思いで選びました。(9歳女の子、7歳男の子、5歳女の子の父)

■ 直腸がんから、肝臓と肺に転移しています。現在、ステージ4。一人でいると、どんどん自分の中に入ってしまうので、ぜひ皆さんとつながりたいと思いました。職場でもプライベートでも、車を運転することが難しくなりました。車に乗ってどこかドライブに行きたいという気分でこの(車の)写真を選びました。(24歳、21歳の父)

 “命”という重く深刻なテーマの交流会で、自己紹介と共に選んだ“一枚”に込める思いからは、その人の個性や人間性が透けて見える。一人一人の発言に真剣に耳を傾け、うなずく様子からは、お互いを慈しみ合うようなとても優しい時間が流れていた。
■西口洋平 ステージ4のがん告知 「キャンサーペアレンツ」への思い

 参加者たちの自己紹介の後は、今回の交流会を企画・運営し、「キャンサーペアレンツ」を主宰する西口洋平さんが登場。西口さん自身も「胆管がん」と医師から診断され、0期から4期まであるがんの進行度の分類で、最も進行した段階であるステージ4という告知を受けた。現在も週1回ペースで治療を受けながら、仕事も継続。2016年4月に立ち上げたキャンサーペアレンツは、1年強で現在1000人以上が登録し、オンラインを中心に交流をしている。

 西口さんは、自身のがん体験を経て、キャンサーペアレンツを立ち上げた経緯を次のように語る。

 「僕は妻と8歳の娘を持つ、一般的な37歳の男性です。『ステージ4のがん』であることを除いては。小学校から大学まではサッカーをずっとやっていました。神戸の大学を卒業して、約15年前にベンチャー企業へ就職。15年前は“ブラック企業”という言葉もない時代、長時間残業という概念もなく、朝から晩まで働きノルマを達成するのが当たり前という環境でした。2008年リーマンショックによる不況も乗り越えて、当時50人ほどだった会社の社員の数は、今ではグループ連結で2000人以上に。当時、あれだけ反対していた親も今は株を買っているくらい(笑)。山あり谷ありでしたが、結婚して子どもにも恵まれ、ささやかながらも順風満帆に過ごしてきました」

 「娘の幼稚園卒業・小学校入学を控えた2015年2月に、胆管がんが見つかります。大きな手術が必要と言われ病院ですぐに手術をしたけれど、転移が見つかりがんへの処置を施すことなく2時間ほどで終了。その後、ステージ4という告知を受けました。『手術はできない状態』と医師から告げられ、そこからは抗がん剤による治療を続けています」

 「当初は入院しながら抗がん剤治療を行い、その後、通院での抗がん剤治療へ。僕の場合は、手術をしなかったために回復が早く、3カ月で仕事に復帰できました。それまでに会社を続けて休んだのは、新婚旅行のとき1週間だけ。3カ月の間会社を休むということは、僕にとってそれだけでも大きな冒険で、復帰後は仕事と治療をする生活に慣れるのに必死でした」と西口さん。

 それまでの仕事の実績や職場との信頼関係を軸に、職場の理解も得て、西口さんは病気と闘いながら仕事を継続する。しかし、2016年の春、2種類使用していた抗がん剤のうちの1種類にアレルギー反応が出て使えなくなってしまった。

 「それを機にがん発覚後初めて、セカンドオピニオンを受けることを決意。抗がん剤治療以外の方法、つまり手術が可能かどうかを確認するため、がんの名医に話を聞きに行ったところ、かかりつけの病院から送られる紹介状(診断書)上の症状と、目の前にいる僕の症状を見比べ、びっくりして二度見されました」

 セカンドオピニオンでの医師による診断は、「手術はできない」「この状態を維持できているのは奇跡」「できるところまで抗がん剤治療を続けましょう」というもの。

 「僕の中でどこか薄れていた死に対する恐怖がよみがえり、『やりたいことを、今やらないと後悔する』と強く感じました。がん発覚当時、娘は幼稚園の年長。僕には家族がいて、地元には親もいる。会社に復帰できるか、治療にどれだけかかるのか、お金のことも心配です。そもそもいつまで治療が続くのかも分かりません。ものすごく不安なのに、周りには同じような人がおらず、まさに“真っ暗”“どん底”の状況。ある日、がんについて調べてみると、小さいお子さんがいるがん患者は約6万人くらいいるということを知りました。相談できる相手がいない、がんだと宣告されたときの孤独感。家族のこと、仕事のこと、お金のこと……同じ境遇の人が周りに本当にいなかった。そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そういう不安を気軽に話し合える人を探したいと始めたのが、キャンサーペアレンツです」

 2016年4月にセカンドオピニオンの診断を受けた後、西口さんは2つのことを決意する。1つは、これまでと働き方を変えること、もう1つは、キャンサーペアレンツの活動を本格的に行うこと。しかし、働き方は変えても、長年勤めてきた会社に対して恩返しがしたい。仕事と子を持つがん患者をサポートする活動を両立することができないか――。

 その決意を、西口さんは当時の上司に思い切って相談する。(1)平日週1回は抗がん剤の投与で働けないこと (2)抗がん剤の副作用など、体調が安定しない時期は別途休みが必要になる場合があること (3)相談できる担当上司を決めてほしいという、働き続けるための3つの希望に加え、会社へ貢献したいという思い、キャンサーペアレンツ設立への思いを真摯に伝えると、上司は西口さんが働けるように調整し、応援してくれた。

 仕事とキャンサーペアレンツの活動を本格的にスタートするため、2016年の夏にいったん退職。週3~4日のシフト勤務に契約形態を見直し、外勤のある営業職から社内でスタッフの管理などを担当する部署に配置換えをした。西口さんの給与は減ったが、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行してキャンサーペアレンツの地道な活動を続けている。

 「キャンサーペアレンツの登録者の平均年齢は、42歳。がん患者の平均年齢よりも30歳くらい若く、女性が圧倒的に多い構成です。がんの部位や症状も様々なので、境遇ができるだけ近い人を探せるように、がんのステージや年代、がんの部位などで検索することもできます。中でも、ステージ3と4の方を合わせると5割以上。6割が現在治療中で、サイト上で副作用や抗がん剤など治療の話もしています。ステージが進んでいて、今治療中という方が、コミュニケーションを取りたがっています」
「子を持つがん患者全体からみると、この場に来ていない人のほうが圧倒的に多いんです。どこからも情報が得られず、心の暗闇から抜け出せないという人もいる。キャンサーペアレンツとして当事者の声を集めて、思いや悩みやこうあったらいいというのを、広く情報発信していきたいと思っています。何かアクションを起こすと気持ちが前に向いていく。気持ちが前を向いていくことで、治療へもいい影響が出るんじゃないかと思います。僕自身、余命半年と医師からは言われたけれど、今元気で過ごしていて、告知されてから2年以上生きています。アクションの連続が治療にいい影響を及ぼして、元気に過ごせているのではと感じています。そういうふうに自分の病気と向き合うことで生まれる変化を、キャンサーペアレンツの活動を通じて実現していけたらと考えています」
■4枚のイラストで振り返る 自分の人生・大切な人への思い

 西口さんからの熱いメッセージを受けて、「一日一日を大切に。今ある状況の中で、家族と共に前向きな一歩を歩んでいきたい」と思いを同じくする参加者たち。
 その後、これまでの人生の中から自分を表す象徴的なことを4つのシーンに分け、それぞれの場面を4つの絵で描くというワークを行い、3人1組に分かれて互いに自由に思いを語り合った。

 「これは、思いの丈を絵に込めるという楽しいワークです。いつも、子どもに絵は下手だなとか言っていますが、自分の絵がどんなにひどいか分かる機会だと思います(笑)。3人1組になって、1人が発表したものを2人が聞いて、どう感じたかをフィードバック。それを1人1回ずつ行います。皆さんがどういう感情だったのか、どう考えたのかを共有してください」と、西口さんはユーモアを交えながら、参加者たちの心をほぐしていく。

 小学校のころ、高校のころ、社会人のころ……時間軸は人それぞれ。当事者は当事者同士、当事者の家族は家族同士というように、より近しい存在同士で交流できるようにチームに分かれ、自分の半生を振り返った。

 社会人になってから、1カ月間東南アジアを旅した経験、お笑いにはまって全国公演を見に行った思い出、嫁いで名古屋で大家族を持った経験、それぞれのパートナーとの出会い、当時持っていた夢、趣味の釣りの話……4枚の絵に描いたそれぞれのマイストーリーを振り返りながら、話はがんについても触れていく。
 親として最も心を砕くことの一つが、子どもへの精神面の影響。子どもに病気の事実をどこまで伝えるかに、正解はない。子どもに伝えた人、まだ伝えていない人、お互いの選択を尊重しながら、その思いに共感したり経験談を参考にしたりしていた。

 子どもへ伝えるかどうかはすごく迷いました。でも、後で話しておけば良かったと後悔するのは嫌だった。自分のことも考えて、子どものことも考えたうえで、「なぜ、あのとき話してくれなかったの?」となるのが一番嫌だったんです。

 まず当時小学5年生の娘には、向き合って話をしました。真ん中の子は当時1年生で理解してくれているかは微妙でしたが、1人ずつに正直に話しましたね。当時2歳だった子へは『ママ、病気なんだ』と分かりやすく、『だから、がんばるから応援してね』と伝えました。実は、私は自分の母に直接病気のことを言えなかったんです。肺腺がんという診断を受けた後、主人にも電話しなければいけないし、病院の先生が説明したいからと姉に電話して事情を説明すると、すぐに来てくれました。でも、同じ母として、娘のがんを聞いたときの親の気持ちが痛いほど分かり、実母に私の口からは言えなかったですね。
 長女には本当にたくさん助けてもらっています。長女へは「肺の中にあるがんというものが悪さをして、それがうつったりということはないんだけど、治療がすごくつらいものだから心配させちゃうかもしれない。でも応援してね。おうちのこと、頼んだよ」とか、そういった話をしました。
 当時10歳だった娘の第一声は「治るの?」。それに私はすぐ答えられなくて……「治るよ」って答えたけれど、重い会話でしたね。治したいという気持ちはあるけれど、「がんばるよ」としか言えなくて。どうしようかと思いました。でも話してよかった。母である私の命について聞いてもらって、自分の命を大切にしなければいけないなと間近で見てもらえたらと思うので、プラスにはなったと思います。普通に生活してきて、たぶんここにいる皆さんそうだと思うんですが、「まさかこんなふうになるなんて」と思いました。けれど、がんにならなければこうやって出会うこともなかった人もいる。だから、いいこともあると思っています。(中1、小3、年少の母、肺腺がん)


 一般的に、死の概念が分かるのが10歳くらいと言われているんです。上の子が7歳ですが、まだ認知が微妙なんですよね。僕の父親は健在なんですが、僕は18歳、妹は15歳のときに父親ががんになりました。そのとき、親から告知されること自体に僕は苦ではありませんでした。ただ、7歳の子にとって、“死”ってゲームやアニメでしかまだ知らない年なので、僕の中でうまく伝えられる気がしないんです。上の子はそろそろ分かってきてもいい年ごろに向かうので、そこはまだ解決していない部分です。僕のがんは、2016年6月に分かりました。まず妻と親に話し、親は泣きましたね。年末に転移が分かり先生からは『治らない』と告げられて、それから銀行口座の整理をしました。
 最初、感情の起伏はもちろんあったんですが、転移が見つかってからはほとんど悩まなくなりました。精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスが提唱している「死の受容」プロセスでは、第1段階は「否認と孤立」、第2段階は「怒り」、第3段階は「取り引き」、第4段階は「抑うつ」、第5段階は「受容」と言われている。大体それに近いプロセスを、僕もたどりました。(7歳、5歳の父、小腸がん)
■「普段家族と生活できる、それだけで幸せだと感じる」
 絵で描くからこそ、凝縮された思いもある。

  「一番怖かったのは、ちょうど去年の3月に『乳がんの可能性が高いです』と医師から言われてから、結果が出るまでの間。ほぼ自分ではダメだと思っているんだけど、まだどこかで希望を持っていて、でもやっぱりがんなんだろうな……と。祖母も祖父も長寿だったから、私は長寿だと思っていて、年齢的にも自分の親に何かあったらどうしようとばかり思っていました。当時は、この絵に象徴されているように、親も家族も気丈に振る舞ってくれる中、私だけが泣いている状態。長女は繊細な子だったので心配したけれど、『やっぱり』と涙を流した後、仕方がないことだと受け止めてくれました。夫は1回だけ泣きました。それ以降は『信じてるから、泣くのはやめた』と言って、私がぼろぼろの状態だったときでも、子どもとげらげらと笑って遊んでくれたりするんです。心の中は、絶対に不安なのに……。それは、私が逆の立場だったらできなかったなって思います。夫に『どうしてそんなに強くいられるの?』と聞いたら、『俺にできることをやるだけだ』と言ってくれて。日々頑張ってくれている夫に本当に感謝しています。今年1月には、下の子がおみくじを作ってくれて、その中の1つに『髪の毛が生えてくるだろう』と書いてありました(笑)。子どもたちにも感謝。なかなか当たり前になっていて伝えられないんですが、今日帰ったらちゃんとありがとうと言います」(10歳、5歳の母、乳がん)

 家族や周囲の温かさに支えられ、今年3月には、結婚前に外国で出会った友人3人と東京での再会を果たしたとほほ笑む。
 「帰りの新幹線の中で、病気になる前にはなかった『また会いたい』『もっと生きていたい』と猛烈に湧き上がる気持ちが切なくて。友達には、病気のことも直接話したら、後から友達3人ともお守りを送ってくれて、人の祈りを感じました。キャンサーペアレンツを通じて出会った皆さんとも、祈り合うことで強くなれる。特定の宗教は信じていないけれど、祈る人がどんどん増えていく感じです」
 男性同士のチームの間では、家族に残す資産についての現実的な話題も挙がっていた。「父親の立場からは、いかに家族に残せるかというのが気がかりですね」とは、西口さんと同じ胆管がんを患う9歳・7歳・5歳のパパ。

 「生命保険はがんが分かる以前から入っていて、最近家をローンで購入しました。自分に万が一のことがあったときには、保険金が入ってローンは完済できる。普段の生活は、遺族年金で賄う。計算するとたぶんいけそうだと」
 「妻は僕の病気のことを知って、まず子どもに話をしてくれました。治療のために東京で7カ月間療養したときも、家族で一緒についてきてくれて、子どもたちは今でも、『パパと一緒に闘った』『あのとき、みんなで頑張ったよね。だからパパはママをずっと大事にしてよ』と言ってくれます。子どもたちも僕の病気に向き合って、受け入れてくれていますね。とはいえ、自分自身はいつもそういうときばかりではありません。検査の結果が悪かったら落ち込みますし、気持ちが不安定になるときもあります。自分で意識はないけれど、検査が近くなると、子どもにも妻にも笑わなくなると言われます。やはりどこかに今度もし検査の検査が良くなかったらという意識があるんでしょうね。でも、良いときも良くないときも家族にはそのまま伝えて、何もなければ『良かったね』と言ってくれる。がんになった当初は何か遺書とかを書いたほうがいいかなとか色々考えたんですが、何かを子どもに伝えるというよりも、一日一日、今が楽しく過ごせればそれが一番いいかな、と。普段家族と生活できる、それだけで幸せだと感じます」

 参加者一人一人の声からは、心身ともに不安定なときも前向きなときも、ありのままを受け入れてくれる、子どもや家族、仲間の存在の大きさを改めて感じた。
■「普段家族と生活できる、それだけで幸せだと感じる」
 国立がん研究センターの推計によると、18歳未満の子どもを持つがん患者の全国推定値は年間5万6143人で、その子どもたちは8万7017人、患者の平均年齢は、男性は46.6歳、女性は43.7歳。親ががんと診断された子どもの平均年齢は11.2歳で、18歳未満のうち0歳から12歳までが半数を超えることが分かった。


 西口さんは、キャンサーペアレンツの活動の意義や今後の課題を次のように語る。
 「僕のときはそもそも情報がなかったから、僕や妻、小学2年の娘と同じ悩みを感じてほしくないと思いました。当事者は、体の痛みや副作用の治療のことももちろん悩みますが、一番悩むのは、落ち込みや不安、恐怖、これからの生き方に関する精神的なことが大きい。そこは医師も対応してくれないし、当事者同士が話したほうが解決できることもあるのではないかと考えています。同じ病気を持つ子育て世代の不安を少しでも解消できるよう活動を続けています」
 「キャンサーペアレンツのサイトは、現在日記を書くとか、誰かの投稿に『いいね!』を押すかとか、つながった方とメッセージ交換をするとか、ごくシンプル機能が中心ですが、今後はこれだけではなく、より気軽に、より深いアクションを起こせる様々なコンテンツを追加していきたい。後は賛否両論ありますが、サイトやイベントを運営するのにもやはりお金がかかります。寄付金のような一時的な資金ではなく、当然できることはやっていく中でいかに持続可能な状態で運営資金を得ていくかが課題。『サイトができてよかったね』ではなく、10年後20年後と続けていくために資金が必要です。持続可能な運営を模索しつつ、東京、大阪、名古屋はもちろん、他のエリアでも今回のようなリアルに交流できる場を今後も企画していきたいです」

(文・構成/日経DUAL 加藤京子)
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