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2008年05月23日 (23:42)

前立腺がんの最新治療(4) 血液検査で早期に診断

前立腺がんの診断・治療の指標となるのが「前立腺特異抗原(PSA)」と呼ばれる腫瘍(しゅよう)マーカー(タンパク質)だ。がんになると血中に増えるので、その値を調べて診断に役立てる。PSA検診は自治体の集団検診の約七割で取り入れられているが、同がんになりやすい五十歳以上の男性の受診率はまだ低いという。

 PSA値は四を下回っていれば「正常」と判断される場合が多い。群馬大学医学部の伊藤一人准教授(泌尿器科)によると、がんが見つかる確率は四の場合は20-30%、一〇で約40%、二〇で60%、五〇-一〇〇の場合はほぼ100%という。

 同検診を行った場合、受診者の8%に異常が見つかり、1・5%ががんと診断される。他の部位のがん検診による発見率は0・1%程度にとどまっており、PSAによる発見率は高い。また通常の血液検査で調べられるため、検査者による技術差が少なく、伊藤准教授は「客観的なマーカー」と評価する。

 検診の効果について、厚生労働省の研究班は昨年公表したガイドライン案で「早期診断をする上で有用な検査」とするが、集団で検診を受けたことで全体の死亡率を下げる効果は、「その有無を判断する証拠が現状では不十分」と説明。現在行われている集団検診について「継続の是非を再検討すべきである」と指摘している。

 だが日本泌尿器科学会は▽一九八八年以降、積極的にPSA検診を導入したオーストリアで、見つかったがん患者の病期は早期がんが多くなり、治療の結果、二〇〇五年の死亡率が予測値に比べて54%低下した▽別の国際研究で同検診を受診した群と未受診の群を比較した結果、受診群の進行がん患者数が未受診群に比べて十年間で49%減少した-などの国際データを根拠に同検診を推奨している。

 伊藤准教授によると、国内でも同検診の受診率が5%以下の自治体の場合、発見されるがんの約30%が既に骨などに転移する進行がんだったが、受診率50%以上の自治体では転移の割合は10%程度だった。また前立腺内にとどまるがんのうち、PSAの値が一〇以上の患者が手術を受けた場合の再発率は30-40%で、四の場合は10%だったという。伊藤准教授は「がんの悪性度、広がり方と合わせ、PSA値も予後に影響する要素」と指摘する。

 逆にデメリットに挙げられるのは、必ずしも治療の必要のないがんを発見する「過剰診断」が起こり得ることだ。伊藤准教授によると、国内では同検診の受診者の5-10%に過剰診断が起こるという。ただ、前立腺がんは発見しても治療をせずに経過を観察する選択肢もあり、「すべての過剰診断例が過剰治療につながるわけではない」と言う。

 国内の前立腺がんによる死者数は、〇六年で約九千五百人。過去二十年間で三・五倍に増えた。原則的に年一回ペースの受診が望ましいが、PSA値が一以下の人は三年に一度の受診が推奨されている。(杉戸祐子)=おわり

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