2008年07月02日 (21:43)
メディビック、「非小細胞肺がん」のテーラーメイド化学療法開発につながる抗がん剤候補を確認
これまで困難だった投与前の予測も実現、個の医療を促進へ
〜メディビックの薬効予測技術を活用〜
このたび、当社の子会社である株式会社メディビックは、日本医科大学と共同で、肺がんの約80%にあたる「非小細胞肺がん」のテーラーメイド化学療法開発につながる知見を見出しましたので、お知らせいたします。
肺がんの8割を占める、それが非小細胞肺がん
肺がんは、年間6万人以上の方が亡くなる死亡率の高い病気です。
肺がんは、がん細胞を顕微鏡で見ることによって、小細胞肺がんと非小細胞肺がん(腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん)と大きく2つに分類されます。治療法も、小細胞肺がんと非小細胞肺がんで異なります。全体の約8割を占める非小細胞肺がんは、抗がん剤や放射線治療などの化学療法で治療の効果が出やすい小細胞肺がんと異なり、化学療法の効果が限定的です。そのため、非小細胞肺がんに対する化学療法について、新しい抗がん剤の開発や、既存の抗がん剤や放射線治療との新たな併用療法の開発が、長らく望まれていました。
また、抗がん剤による化学療法は、一般的に強い副作用がみられます。そのため、効果が期待される患者を投薬前に予測して、副作用が少なく効果の高い投与を行う、テーラーメイド化が強く求められていました。
メディビックの技術を活用した薬効予測アルゴリズムで、HDAC阻害剤が「非小細胞肺がん」の
抗がん剤候補になることを見出す。さらに薬効の事前予測ができることも確認。
日本医科大学では、HDAC阻害剤(*1)と呼ばれる抗がん剤としての効果が期待される薬剤を細胞に作用させた場合の効果が検討されていました。メディビックは日本医科大学と共同で、検討によって導きだされた遺伝子発現データをもとに、遺伝子発現解析技術とパスウェイ解析技術、さらにデータマイニング技術といった高度なデータ解析技術を組み合わせ、その薬剤に効果があるかどうかを予測することができるアルゴリズムを開発(*2)しました。
その結果、HDAC阻害剤に抗腫瘍効果が認められ、さらに開発したアルゴリズムが、複数の遺伝子の発現をもとにして、HDAC阻害剤への感受性を高い精度で予測できることが確かめられました(*3)。
この成果によって、HDAC阻害剤が非小細胞肺がんの新たな抗がん剤候補となること、ならびに非小細胞肺がん治療のテーラーメイド化が促進されることが期待されます。
なお、以上の内容については、ガン治療学界における学術雑誌「分子がん治療2008年7月号(Molecular Cancer Therapeutics July 1 2008, Volume 7, Issue 7)に掲載されます。
今回得られた成果は、切除した肺がん検体を対象にして、診断技術へと応用できる可能性があります。今後は、これをもとに、実際に化学療法を行う際の診断方法の開発や、実施に向けたバリデーション試験を計画し、早期の実用化を目指してまいります。
(*1) HDAC阻害剤
ヒストンとよばれるDNAの折りたたみに関係する酵素を阻害する一群の薬剤。この酵素の働きを抑制することによって、様々な遺伝子の発現が変化することが知られている。また、がん細胞の増殖抑制作用が観察されるため、抗がん剤としての利用が期待されている。今回は、この一群の薬剤のうち、主にトリコスタチンA(Trichostatin A)という薬剤を使用した。
(*2) 予測アルゴリズムの開発
日本医科大学が行った、非小細胞肺がんの細胞に対して、HDAC阻害作用のある薬剤の1つトリコスタチンAを作用させた際の遺伝子発現実験のデータを元に、この薬剤の作用により発現が変動した遺伝子の一群を選び出した。さらに、遺伝子の間の関係を解析する”パスウェイ解析”という手法を用いて、選び出された遺伝子の一群の中から、HDACの作用に直接関係する可能性が高い9つの遺伝子を選択。従来は遺伝子発現の変動だけに着目していたが、今回パスウェイ解析を組み合わせることによって、生物学的に意味のある遺伝子だけをうまく選択することが可能となった。日本医科大学医学部の弦間昭彦先生が中心となり、日本医科大学とメディビックが共同で開発を行なった。
(*3) HDAC阻害剤への感受性の高い精度での予測
非小細胞肺がんの細胞を複数用意し、効果がはっきりと出る6系統の細胞のデータをもとにしてアルゴリズムを開発。別の7系統の細胞のデータを用いて、正しく効果が予測出来るのか検討した。実験の範囲内では、ほぼ100%の精度で予測でき、高い精度で薬剤の効果を予測できることが確認された。これにより、遺伝子発現データの統計解析だけでなく、生物学的な機能を加味して利用する遺伝子を選択する手法が十分に機能することを実証することができた。
株式会社メディビックグループ
当社グループは、個人の体質に合わせて副作用の少なく効果の高い薬を処方できるテーラーメイド創薬の実現を目指す企業です。具体的には、医薬品開発や研究などを行う製薬企業や研究機関などに対し、個別化医療やテーラーメイド創薬を推進するサービスや製品を提供しています。
薬の効き目の個人差を示す体質は、遺伝子によって決められています。個人の遺伝子タイプが分かれば、体質に合ったより効果の高い薬を選択し処方することができます。また、投薬前に効果を確認することで、副作用も最小限に留めることができます。そのために、製薬企業では遺伝子と薬の関係を調べて医薬品開発をするようになってきています。そのために必要となるのが、PGx試験です。導入企業は年々増加しています。
当社グループは、PGx試験を総合的・戦略的に支援できる体制を整えています。当社グループが独自に築いた、バイオ最先端の技術・情報網、そして医療機関・製薬企業などとの幅広い人的ネットワークの活用により、PGxに対するニーズを的確に掴み、顧客の要望に適した満足度の高いサービスを提供しています。
当社グループは、PGx試験を総合的・戦略的に支援できるユニークな存在として実績を積み重ねることにより、圧倒的に優位なビジネスポジションを築いています。
当社グループに対する詳細な情報は、 http://www.medibic.com をご覧ください。

