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2008年09月19日 (22:15)

がんの最新治療(下) 『膀胱』 自排尿型代用膀胱

膀胱(ぼうこう)がんは、血尿や頻尿など症状が出やすく、比較的初期の段階で見つけやすい。手術で膀胱を取った後、問題になるのは排尿機能だ。最近は小腸を利用した「自排尿型代用膀胱」でそれを補う治療法が注目されている。

  (鈴木久美子)

 東京都世田谷区の会社役員高橋征八郎さん(65)は今年五月、癌研有明病院(江東区)で膀胱がんの手術を受けた。膀胱にできた袋状の憩室(けいしつ)という部分に約三センチの腫瘍(しゅよう)ができていた。

 見つかる膀胱がんの七、八割は早期で、内視鏡手術などが一般的。ただ、高橋さんの例は同手術で取るのは難しく、開腹手術で膀胱と前立腺を摘出した。

 手術後の排尿機能維持に、代用膀胱として、小腸を約六十センチ利用して一部を縫い合わせ袋を作った。尿管と、残した尿道につないだ。これで尿道から自分で排尿できる。手術は約九時間。費用は健康保険の三割負担で約八十万円だった。

 従来の治療では、尿管を回腸(小腸の後半部)に植え込んで、回腸の先をへその横あたりで皮膚の外に出しストーマという出口を作り、体外で尿をためる袋(集尿袋)につなぐ方法が多かった。この場合、尿道も取り除く。

 「好きなゴルフをするのに、おなかに袋があると邪魔だ」と高橋さんは代用膀胱に決めた。

 術後は尿漏れが起こった。脳の排尿中枢が働かないため尿意を感じず、尿道を締める括約筋も働きにくくなる。「おなかが張った感じ」で尿がたまったことを察知し、腹に力を入れて排尿する。

 代用膀胱の容量も、小腸が徐々に延び拡大する。当初は夜一時間おきに起きてトイレに行った。容量は現在約九倍になり、夜のトイレも三時間おきに。括約筋が締まるよう、毎日約四十分のウオーキングを欠かさない。手術後約三カ月で排尿はほぼ安定した。「代用膀胱は一生使えると聞いている。安心だ」と高橋さんは話す。

     ◇

 「患者のQOL(生活の質)を高く維持できるように、最近は自排尿型の代用膀胱を選択する機会が増えている」と同病院の福井巌・泌尿器科部長は話す。以前は尿道を残すと約30%の再発率があるといわれていたが、最近膀胱の出口や前立腺に囲まれた部分の尿道にがんがなければ、再発率は数%と低いことも分かってきた。

 この治療法だと、集尿袋を体外につけるわずらわしさからは免れる。ただ、ストーマを作るより、手術は大掛かりになり、合併症も起こりやすくなる。腸の癒着が起こりやすい人や、腸間膜や尿管の短い人、腎機能が悪い人などは、うまく代用膀胱を作ることができない場合もある。

 「残した尿道から再発のリスクがあることも、忘れてはいけない」と福井部長は話す。女性は子宮も取り除くため、尿が出にくくなるのでストーマを作る。

 尿路をどのように再建するかは、個人の希望や身体の状態によって異なる。十分に説明を聞いて決めることが必要だ。

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