2008年11月18日 (22:07)
疾病追跡に住基ネット 薬害肝炎など兵庫県方針
県は「住基ネットは従来は事務の効率化が主眼だったが、県民の命を守る観点から活用を検討したい」としており、十二月の定例県議会に改正案を提出する予定。総務省は「非常に先進的な利用法で、全国初ではないか」としている。
ただ、住基ネットによる本人確認の利用対象を、住民の病歴という高度なプライバシー情報に広げることに関して「さらに対象が広がるきっかけになるのでは」と批判の声が出ることも想定される。県は「個人情報の取り扱いには細心の注意を払う」としている。
住基ネットは住民の氏名、生年月日、性別、住所やこれらの変更履歴を地方自治情報センターのデータベースに蓄積、行政機関が本人確認に利用できるシステム。自治体が本人確認で住基ネットを利用する範囲は、法令と条例で定められる。
県によると、肝炎ウイルスに汚染された血液製剤を投与された人や結核患者などが転居先を告げずに引っ越した場合、医療機関などは市町で住民票を閲覧して転居先を調べているが、判明しないケースがあるのが実情。がん患者についても、がん医療の研究のために正確な患者数の把握が必要と判断したという。
県は二〇〇四年、県税徴収などを目的にした住所調査に住基ネットを使用するとした条例を全国に先駆けて制定。住基ネットについては、今年三月、最高裁が「プライバシー権を侵害せず、合憲」との判断を示している。
県は「全国で同様の取り組みが進むよう呼び掛けたい」としている。
公益性に疑問 園田寿甲南大法科大学院教授(刑法、情報法)の話
住基ネットが導入されたときから、予想されていたが、今回の場合、住基ネットを使う公益性がどの程度あるのか疑問がある。こういう微妙な問題については慎重な態度が必要だと思うが、その部分の配慮が足りず、少し安易な印象を受ける。
県民の利益に 前川徹サイバー大教授(情報経済学)の話
これまで住民票の閲覧などでやっている作業と実質的に変わらない。事務が効率化され、それが結果的に県民の利益につながるのなら、いいことだと思う。不用意に不安を与えないため丁寧に説明し、透明性のある仕組みにすることも欠かせない。
(11/18 08:55)

